「とりあえず行動する」のは愚か者の最後の砦

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20060220/229871/

プロジェクトも同じです。発生してしまった問題の原因追究は,少なくともその瞬間は意味がありません。

たしかにね.それが無能なリーダーの責任であったり,赤字案件をとってきた営業の責任であったり,実現不可能な設計書を書いた設計者のせいであったり,チームワークをズタズタに引き裂いた『成果主義』を導入した経営者のせいだとしても,その責任を今追及しても現在のプロジェクトの解決にはならない.*1

しかし,今追求しておかなければ、彼らは再び同じ失敗を繰り返して,何度でも会社に損害を与えるだろう.

プロジェクト活動で重要なのは,時間です。限られた時間のなか,プロジェクトのボトルネックと表面化した問題を見つけ出し,できることをどんどん実行することが肝要です。

真に優れた将は「戦わずして勝つ」という.本当に優れた者は常に二手も三手も先を読んで常に先手を打ち,戦場に出る前に勝敗をつけます。問題が発生した後に「とりあえず行動する」のはこれが実践できず、常に後手後手に回っているだけ.


常に後手に回り、どうしようもなくなってから「とりあえず行動する」ことでなんとか凌ぐのは二流です*2.なんとか凌いでいるだけなのに,「自分はどんな危機においても負けない.百戦百勝だ.」と奢るのは三流です.*3

あきらめずに行動を積み重ねることで,じわじわと効果が現れてきます。また,積み重ねが人々の学習と本質の発見を生み出します。

デスマーチというものの主な原因は,見積もりミスと仕様変更だという.見積もりミスと言っても2〜3割というような生やさしいものではなく,1〜2桁という巨大なものである.このような負け戦において「ジワジワと効果が出る」ことが,一体なんの役にたつだろう.

エンジニア気質の強い人は得てして原因追及や理想論に固執してしまいがちですが,そうならないようチームでフォローしていただきたいと思います。

すごい偏見.極めて現実的に判断しているだけだ.

日本のグローバルなメーカーが長年かけて成し遂げてきたことは,このような改善の積み重ねなのです。*4

平たく言って,今まではマネジメント不在で現場の努力だけで凌いできた.しかしそれももう限界を越えている.ソフトウエア開発は,本来チームワークやマネジメントが重要であり,相変わらずマネジメント不在で突き進む限り,これまでと同じ失敗を繰り返すことだろう.

*1:内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

*2:NHKの「プロジェクトX」なぞは,このタイプの失敗パターンが多い.

*3:こういう人とつき合っていると命が幾つあっても足りない.

*4:これこそが三流の証.