「高専ってすごい! (以下略)」

http://nigohiroki.hatenablog.com/entry/2013/08/04/235334
ちょっとだけ感想.


プログラミングに関する授業が,ほとんど含まれて無いみたいだ.
ネットワーク(Internet)がある所は世代の差だな.(昔はせいぜいEthernet.)

全般に「すごい」とは思わない.むしろ不安になる部分の方が多い.*1

C言語

最大の壁ですね。おそらくみなさん相当苦しんだのでは?
ポインタが最大のつまづきポイント。セグメンテーションエラーとか毎回パソコンぶっ壊そうと思ってた。
ベタですがカーニハンのこの本

プログラミング言語C 第2版 ANSI規格準拠

プログラミング言語C 第2版 ANSI規格準拠

K&Rは名著なのだが,初心者には,ちと辛い所もある.それだけに教育者の能力に大きく左右される.


ポインタやSegmentaiton Faultくらいでイラつくようでは,まだまだ.それはC言語としては初歩レベルなので.この調子だと,おそらくプログラマには向かないんでは.

私のささやかな経験から言わせてもらうと、伝統的に大学のコンピュータサイエンスのカリキュラムで教えられているもので、多くの人がうまく理解できないものが2つあった: ポインタと再帰だ。

大学では連結リストやハッシュテーブルなどについて学ぶデータ構造の授業が最初にあり、そこではポインタを徹底的に使う。この授業はふるい分けに使われていた。あまりに難しくて、コンピュータサイエンスの学位の知的な挑戦に耐えられない者は脱落していたのだが、それは良いことなのだ。もしポインタが難しいと思っているなら、不動点理論に関する証明で難儀するのを覚悟しておくことだ。

高校ではApple IIのBASICでpongゲームをうまく作れていた子供たちが、大学に入ってデータ構造の授業のCompSci 101を取り、話がポインタのことになると彼らの脳みそは吹き飛んでしまう。そしてこれはロースクールに進むほうが良さそうだと思って政治科学専攻に切り替えるのだ。コンピュータサイエンス学科のドロップアウト率の数字をいろいろ見たが、それは通常40%から70%の間だ。大学はこれを損失だと考えているようだが、私はこのふるい分けを不可欠なものだと思っている。彼らがプログラミングのキャリアで成功したり幸福になることはないだろうからだ。
(中略)
しかしポインタと再帰の明らかな重要性以上に重要なのは、これらの学習から得られる精神的な柔軟さと、これらを教えている授業からふるい落とされないために必要な精神的態度が、大きなシステムを構築する上で欠かせないということだ。ポインタと再帰には、ある種の推論力、抽象的思考力、そして何よりも問題を同時に複数の抽象レベルで見るという能力が要求される。そしてポインタと再帰を理解できる能力は、優れたプログラマになるための能力と直接的に相関している。

http://local.joelonsoftware.com/wiki/Java%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%8D%B1%E9%99%BA

Java

C言語にくらべかなり楽だったきがする。
ただヌルポが出て時は毎回PCを壊そうかと思ってました。
これについて言及したいのが、オブジェクト指向の概念をしっかり座学で教えるべき。
オブジェクト指向単体で授業がないとダメだと思う。
あとはUMLもやったけど、もっとしっかりやるべき。
社会人になってから思うと何かと漏れが多い授業だった。

本はこれ

やさしいJava 第4版

やさしいJava 第4版

よりによって「やさしいJava」かよ…….orz


超入門者向けの簡単な本だが,中身がスカスカすぎる超糞本.「そのくらい一週間でやれ」なレベル.*2

この本が教科書ということは,おそらくJavaの言語の超基礎を囓っただけで,まともなプログラミングはできないと思う.*3単にこの高専では「C言語C++に特化していてJavaはほとんどやらない」というのなら,そういう選択もありだと思うけど,見た感じだとそういう雰囲気でもない.

NullPointerExceptionくらいでPC壊すようでは,Javaプログラマーは断念した方がいいと思う.そんなのは初歩の初歩なので.先にはもっと難しい問題が山積みだよ.


またJavaに限らずマルチスレッドプログラミングもできないんじゃないかな?OOPについても全然やってないみたいだし,Javaプログラマーとしては入門以前のレベルだと思う.*4

他にも「アルゴリズムとデータ構造」「デザインパターン」あたりはどこまでやったのか気になる.カリキュラムだけからは内容は読み取れんからよく分からないが,あまり理解して無さそうな雰囲気だ..

ソフトウェア工学の基礎みたいなやつ

これはタイトルが思い出せずまんまの見出し。
というわけでソフトウェア工学の基礎みたいなやつも2年次にやりました。
具体的にはウォーターフォールの話だった気がする。
5年次に詳しくソフトウェア工学をやります。

参考図書は基本情報技術者の参考書を使ってました。

この本自体は見たこともないけど,嫌な予感がします.

しかもよりによってウォーターフォールだと?SIer専用の社畜育成プログラムですか?

プログラミング言語

ここで初めてプログラミング言語を!
最初はschemeというLISPをやりました。
イメージ的には再帰を学ぶのに半年使ったって感じ
行列の計算とかベクトルの計算とかクソつまらんかった記憶がありますw

schemeはいいとして,再帰とか基本テクニックだし,行列の計算とかも基本テクニックだし.


あと不思議なことに英語がないよね?IT系としては,これは致命傷になりかねない.*5


やっぱ全体としては「大丈夫か?」だな.

http://b.hatena.ne.jp/entry/nigohiroki.hatenablog.com/entry/2013/08/04/235334

  • id:atsushifx id:JavaBlackから飛んできたが全体的に浅い気がする。きちんとしたプログラマーを目指すなら専門の大学のほうがいい。論理数学や組み合わせ理論、計算量理論などは必須の教養でしょ。
  • id:katabiragawa 遠い昔TAやってた時に、高専からの編入組にこんなことやって何の意味があるのかとか結構突っかかってこられたから、高専でちゃんと情報理論やっとうということ自体が素直に信じられん。
  • id:zilog80 もっとプログラミング中心にやるカリキュラムがあってもいいはず。
  • id:kotae_taeko 職場同期が高専卒だったけど「後悔してる」と言ってたので違う側面から見てみたくてブクマ。私はいろんな可能性が見れたから普通高校普通科で良かったと思ってる
  • id:sechs 高専は先生による。C言語の教え方がヘタクソすぎてポインタが分からなかった生徒が間違いなく8割はいた。10年前に似たようなカリキュラムだったけどここまで徹底してなかったなぁ
  • id:sixteengram 体系的に勉強したいから助かる!けどすごいのかわからん、普通高校出てそっち系の大学行ったらダメなのか?

見た感じではすごくはないし,「やさしいJava」にいたっては「悪い」レベル.


内容はもっと詳細を見てみないと分からない.*6 *7



SEは情報技術者がやる仕事じゃないし,専門家でさえないし.

ソフトウエア工学は別にみっちりやるべきだが,かならずしも座学でやるもんでもない.

  • id:hihi01 ウェブとか、ITをマネジメント側からしか学んだことないから判断できないけど、もうちょっとユーザーインターフェースとか、UXとか、経理の基礎とか、生産工学の基礎とかあってもよいのじゃないかという気がした

同様な理由で,情報系の専門教育としては優先度は低いと思う.専門分野でもやらなきゃいかんことは,まだまだ沢山ある.

  • id:plutan 息子がまだ進路迷ってるので参考にさせていただきます(高専にするなら情報工学科を選ぶ可能性大)

そういう人には「なれる!SE7」をお勧めする.かなりマジに.まずは7K業界とも言われる日本のIT業界が,どんな世界か知っておいて損はない.*8

http://book.akahoshitakuya.com/b/4048868535
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20120815/p1
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20101018/p1

「続・高専ってすごい!(以下略)」

http://nigohiroki.hatenablog.com/entry/2013/08/06/203359

事実入学時は40人でしたが卒業時は30 + 10人でした。
高専普通高校よりもはるかに留年率が高い!

4年前半から1日8時間を超える勉強
5年夏に行われる編入試験から逆算的なスケジューリング
英語

やっぱ受験勉強は必要.英語も中卒に毛が生えた程度だとすると,必死で勉強しないと大学入学後についていけなくなるのでは.*9

しっかり学べるとはいっても学生の質は大学には遠く及ばない

これは……どうなんだろね.

ただこの就職氷河期&終身雇用崩壊後のこの時代に就職 AND 転職を考えると専門学校より一流の四年生大学ということになるだろうし,やっぱり勉強ができる生徒ほどそちらを目指すのではないだろうか.

「その結果が生徒/学生の質となっているのではないか」という可能性は考えてはいた.

…などなど色々書いて行きましたが、結論を言うと中途半端なやる気では高専は行かないほうがいい。
そして卒業後に高専は良かった・すごいと言えるような人間は一握り。

http://b.hatena.ne.jp/entry/nigohiroki.hatenablog.com/entry/2013/08/06/203359
  • id:ssids 自分が知っている高専生はほぼ博士か修士持ち(もしくは課程中)だから、成体になったマンボウの群れを見てるだけなんだろうな
  • id:yumu19 「卒業後に高専は良かった・すごいと言えるような人間は一握り」ふむー。高専良かったとみんな言ってるような気がしてたのだが、自分周辺のサンプルに偏りがあるのか。
  • id:kiku-chan 高専卒は毎年9千人程度、進学はその半分だから特殊な存在だよ。「ぶっちゃけ普通高校 -> 東大、早慶」なんていう人の話だし、より一般的でない。産業界に地方国立卒レベルの人材を2年早く提供するための存在なんだよ
  • id:mantol 同じような経歴の元高専生として。覚悟を持って行けとは言いたいな。
  • id:shoG3 高専行っても、各高専で進学率やらカリキュラムだいぶ違うから、進学を考えている人は候補先の高専を個別に見といた方がいいよね
  • id:sys-arts 高専高専言ってるけど情報科近辺に限った狭い話かなぁ・・・機械・電子・化学・土木系の学科なら進学は視野に入れないほうが良い
  • id:plutan 記事の趣旨から逸れるが、義務教育終わった時点で自分が将来就きたい職業を思い浮かべられない人ってなにやってるんだろうと思うよ。

「やりたいこと」と「できること」は違うからねえ.「できること」が決まるのは大学卒業後5年くらいたってからだと思う.それまでは単なる希望的観測,中二病的願望.

高専はすごいかも知れないが行くのは止めておいたほうがいい」

http://shimobayashi.hatenablog.com/entry/2013/08/06/%E9%AB%98%E5%B0%82%E3%81%AF%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%82%E7%9F%A5%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%AF%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8A

http://b.hatena.ne.jp/entry/shimobayashi.hatenablog.com/entry/2013/08/06/%E9%AB%98%E5%B0%82%E3%81%AF%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%E3%81%8B%E3%82%82%E7%9F%A5%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%81%8F%E3%81%AE%E3%81%AF%E6%AD%A2%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%8A
  • id:platism 三年終了率も高いし、生半可な気持ちではオススメできない。学科との相性が最悪だった場合は詰んでしまう。転科も現実的には難しかったりする。
  • id:ShoCoh かくも高専とは一般高校への憧憬を煽るという点で罪作りである。 /まあ、それでも私は行ってよかったと思ってますが
  • id:uturi システムVS文化。「普通高校に行ってればたくさんの友達と素敵な恋人も出来たのに……」という念が垣間見える。高専は大学に転入出来るので、挽回は可能だと思うけどなー。

あ,その視点での編入で挽回ってのはまずないと思う.

大学といっても工学部だから男子校と同じくらいしか女の子はいないし,遊んでる暇もないし.しかも編入組は勉強でも普通以上に苦労するだろうからなおさら.

  • id:exterminator 偏見と言われるだろうが、都市部のホワイトカラー職と言われる仕事をしてきて、30越えて初めて地方の製造業の会社に勤めて高専卒の人達と仕事したところ色々癖がありすぎて疲れる事が多い/旧帝に向ける敵意も怖すぎ。

「都市部ホワイトカラー」を自称するような人だと,高専関係無く技術者と馬が合わないと思うけどな.


というか,話が通じない.技術力があまりに低すぎて.しかも勉強する意欲もねーしなー.

高専への進学を考えると?」

http://d.hatena.ne.jp/shiku_otomiya/20130806

・中学校の段階で進路を絞っていいのか?

これが一番問題になるところですね。私の場合で今の自分がおちいっている最大の問題点です。

この時期に進路を決めると行き先が指定した技術の業界に固定されてしまってほぼ抜け出せません。

・学歴について

最初の項目にかぶりますが、学歴至上主義、というわけではないですが、一度仕事の輪から抜けるとその後が非常に厳しいです。この辺は高専卒が事実上短大卒並とみなされて他の人より不利になるところです。普通に大卒が必要、とかと書かれるとそれで終わりです。技術に偏ってしまった分そのほかのことに疎いとみなされてやばいですし。

外資に関して言えば同感.「高専以上」が技術系大卒よりワンランク低く扱われてる感じはする.

しかも(技術系でも)情報系がこの後残るのか?というとその状況も(個人的には)余り芳しくない、というのは経済誌などがその状態を報告しているようにみえますし。

こっちの方が大きな問題.はたしてIT業界はこの先生き残れるか.

何とかするにもせいぜい大学に編入学して大卒とする、というのが解消法ですが、技術系から抜けようとするとこれは茨の道ですし。特に「一年生から対象の技術を学び始める」=「対象の技術に関係ない項目(社会系、理科の生物系など)はこの時点でカットされる」がこうなるとボディブローのように効いてきます。

さて、いってもいいのかいかない方がいいのか?

個人的には今の状況では余り勧めたくないな〜というところでしょうか。

これが高度経済成長時代のように技術者の回転ができるなら逆にこちらに進学して「技術屋」というのも問題はないでしょうが、長い間その状態を維持できるものではなくなってきているので、奪われたときにどうしようもないですから。

高専生に知っておいて欲しいこと。」

http://d.hatena.ne.jp/FromAtom/20110303/1299134667
古いブログだけど,ついでにメモ.

*1:そういえば,同期に高専から大学進学に変更したって奴もいたなあ.今まですっかり忘れていた.なにか思う所はあったのだろうが...

*2:中身の割にそんなに安くもないので,コストパフォーマンスは劣悪.

*3:C言語の方もK&Rを使ってるだけで、やってることは同じかもしれないが.
良い教師は良い教科書を選ぶので,「やさしいJava」のような悪い教科書を使って良い授業を行うことはまずないだろう.しかし良い教科書を使って悪い授業を行うことは難しくない.

*4:独学で一からやりなおせば別.

*5:「独立した授業としてないだけで,英語のテキストを使った英語の授業は全科目で行われてる」という雰囲気でもないし.仮にそうでも,英文法とかの授業は必要だと思う.独学でもやってやれないことはないけど,高専に進んだ人の中で「英語の勉強が大好き」という人が一体どれくらいいるというのだろう?

*6:体系的な勉強は意外と泥臭いと心得よ.

*7:たとえば,オブジェクト指向だけでもこんな感じ. http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070825/p1

*8:或いは米国留学も考慮にいれるべし.

*9:数学や物理なんかは大丈夫なのかな?