専門書はこの先生きのこれるか
- 「商品の「総額表示」ことし4月から義務化 税込み価格を表示」 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210104/k10012795461000.html
商品やサービスの価格に消費税分を加えた「総額表示」がことし4月に義務化されます。消費者にとっては支払う価格が一目で分かるようになる一方、事業者からは値上げのような印象を持たれ売り上げに影響が出かねないと懸念する声も出ています。
うえええ.こんなアホなことをまだ言ってたのか.正気を疑うわ.責任者出てこい.*1
今、日本のトレンド1位の #出版物の総額表示義務化に反対します のタグについて、疑義を感じている人もいるみたいだけど、この知恵袋の解答者の方が全て答えてくれてる。 pic.twitter.com/kOI3ZXBceu
— ainos (@shotamoe801) September 16, 2020
技術書,特に名著の場合は年単位で売れるからな.IT業界のように変化の早い業界でも,GoFなんかは20年以上前の本だ.
「人月の神話」に至っては,原書初版は1975年.日本語版も何度も再出版され,今でも現役.
https://javablack.hatenablog.com/entry/20131124/p1Code Complete で2005年.
CODE COMPLETE 第2版 上 完全なプログラミングを目指して
- 作者:スティーブ マコネル
- 発売日: 2005/03/26
- メディア: 単行本
この辺でも7~8年前か.
そういう名著でも,消費税が変わる度に表紙を印刷し直したり,値札を一枚一枚張り替えたりするのか?ムリでしょ.ただでさえ技術書が売れなくてピアソンが撤退したりしてるのに*2 *3 *4,さらに追い打ちをかけることにならないと良いがね.
そうでないなら,まずは解決策を示すべきだろう.もしそんなものがあればの話だが.*5
彼等は技術者がどうやって技術を吸収してると思ってるんだろう.口先では若者の理系離れを嘆いていても,実際は技術者のことなんて何も考えてないよね.技術者なんかは飢えて死ねってか.
https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20210104/k10012795461000.html
- id:zzzbbb 消費税が変わるたびに金額を変えなきゃいけないから無駄なコストが増えるって怒ってるんだよ。総額表記を義務化するなら消費税を変えないでいただきたい。それが無理なら税抜き表記で統一させてくれ。-id:yamada_k 総額表示は税率が変わるたびに値札を変えなければいけない非エコな方法。店舗が値札をつける商品はまだいいが、パッケージに値段を表示するタイプの商品は回収してパッケージを交換しなくてはならず、コストが高い。
- id:gunnyori 書籍のような商品寿命が消費税率の設定期間より長い商品には厳しい話。これをやるなら向こう数十年消費税率を変更しない覚悟が税制度に必要なんだがそんなものあるのか?
- id:dusttrail 食品スーパーとかドラッグストアとかは総額表示の方がありがたい。税抜をでかでかと表示しやがってといつも思う。それはそれとして何年も売れ残る前提の商品には特別措置があるといいけど。
- id:asakura-t 総額表示義務化は悪法でずっと反対してるんだけどね(消費税下げるべきだけど変えにくくなる)。今回は食料品は店内飲食と持ち帰りについて別々に表記が必要になるわけだし/インボイスで更に混乱しそうなんだよな…
書籍なんかがその問題の典型.名著ほど寿命が長いだけに影響は大きい.
書籍は全部非課税でもいいと思うよ.
- id:triggerhappysundaymorning 税率出来るだけ気にならなくしようって姑息よね
- id:zapa 消費税を隠すためのゴミ政策
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10231665140?sort=0
質問箱って,個々の回答への permlink って張れないのか.なんという欠陥品.
sai********さん の回答.
【1への回答】
総額表示義務付けに対する反対ですので、過去に義務付けられていた、という話に何の意味があるのでしょうか。1989年、消費税導入(3%)時、表記変更コストに耐えられず大量の絶版が発生。
1997年、消費税5%に。本体価格表示を認めさせる。
2004年、総額表示義務化。ただし、スリップのみの差し替えも認められる。
2014年、消費税8%に。特別措置法で表記変更猶予。
2019年、消費税10%に。特別措置法で表記変更猶予。1997年の時点で、総額表示にしたい行政から譲歩を引き出しています。2004年で押し戻されて、2014年で押し返して、という流れです。
今回特措法の延長が行われなければ、2004年時点まで戻ることになります。
カバーよりましとはいえ、スリップの差し替えにも多くの負担がかかります。
また現在、POSの普及もあり、スリップがないという本も増えています。IT整備に費用を投じつつ、旧来のスリップも維持していかねばならないとなると、二重に費用がかかってきます。なによりここで黙って押し戻されてしまえば、次はカバーのかけ替えを要求されるようになります。行政の目的は総額表示の徹底なのですから、それは目に見えています。価格にいくら消費税が含まれているのか消費者に実感されては困るのです。
【2への回答】
なぜ今のタイミングかといえば、本体価格表示を認める現在の特例を延長しない方針を示したというニュースがあったからです。この特例は、これまで総額表示反対の声や増税の延期によって何度も延長されてきました。
それをもう延長しない、という発言が広まったため、あらためて大きな声があがっているのです。なにも不思議はありません。
https://www.bunkanews.jp/article/222020/【3への回答】
変更する負担がのしかかり多くの本が消えていくことに対して、関係者が、読者が声をあげているのです。
本体価格表示を認めさせれば、そもそも不要な負担です。あなたに限らず、出版社、書店が今まで何もしていなかった、と思い込んでいる方がごく一部いますが、そう主張している時点でこの問題についての経緯をまったく理解していないということがよくわかります。
なぜこれまで本体価格表示が認められたり特別措置法に猶予規定が盛り込まれていたのかといえば、多くの関係者が声を上げ続けてきたからです。もちろん、求めているのは本体価格表示での販売を永続化することですが、行政側は妥協点として猶予という形で認めてきたわけです。
出版社や書店その他書籍に関わる人々が何も言わないのに、行政が勝手に本体価格表示を認めたり猶予期間を盛り込んだりしてくれていた、とでも思っているのですか。胡坐を掻いていた?なにを言っているのでしょうか。
もちろん、今回初めてこの問題を知ったという方も多いでしょう。知って反対したいと思ったから声をあげる、それのなにが悪いのですか。
10%に確定した時点とはいつの時点のことですか?
2012年、消費税を10%にするのは2015年からと国会で決まりましたが、その後2017年に延期され、さらに2019年に延期されました。2019年となった後も、さらなる延期について議論が行われていました。
この状態でいつ準備しろというのでしょうか。当然10%になる前は8%で販売されるわけです。事前に準備しようと思えば、一度10%に張り替えたものをさらに8%に張り替えて、また10%に……ということを繰り返すことになったでしょう。【4への回答】
今回声をあげているのは、負担に耐え切れない出版関係者と書店関係者、そして絶版が増えたり書店が減ったりすると困るという読者や作者です。
自分が困るから声をあげる、それのなにがいけないのでしょうか。書籍にだけ本体価格表示を認めろ、それ以外には認めるな、などとは誰も言っていません。
音楽CDや文房具の分野でも同じように困っているのであれば、その分野の方々が同じように声をあげればよいことです。
多くの分野で声があがれば、総額表示義務自体の撤廃にもつながります。他の分野の方々もどんどん声をあげてください。実際に、これまで多くの分野で声があげられてきました。あなたが知らないだけです。
総額表示+反対、で検索してください。数多くの団体の反対表明や国会への請願が見つかります。
あなたは検索ひとつせずに「出版物だけ」だと思い込んだのですね。偶然あなたの目に入ったものだけが、世の中のすべてではありません。
【質問者以外の皆様へ】
絶版が増えると困る、負担に耐えられない出版社や書店がつぶれるのを見過ごせない、と思うのであれば、どんな形であれ声をあげてください。
近年行政はSNS上の動きに敏感になっています。反対表明やリツイートだけでも力になります。もちろん、そんなことには興味はない、どうなっても構わない、という方もいらっしゃるでしょう。その方はそれでいいのです。
ただし、知りもしない、知ろうともしないのに、得意気に首を突っ込んできて見当違いの自説を語る人間の言うことに惑わされないようご注意ください。
もちろん私も困る側の一人だ.専門書を読まずにマンガや雑誌ばかり読んでる素人なら困らないかも知れないけど,良い専門書を必用とする技術者なら,この問題は重くのしかかってくる.
政治家の方々は勉強しないのかな?そりゃ勉強しないのなら困る人の気持ちも分らないわなあ.
*1:多くの場所で技術書と書いているのは,単に自分が技術者だから.他の各分野でも同様な問題は存在すると思われる.
*2:この本もピアソンの撤退で絶版になった本の一つ. なんだかんだで今でも現役. https://javablack.hatenablog.com/entry/20130808/p1
*3:ピアソンが撤退する以前からカモノハシ本第二版が絶版で,第三版は和訳が出ず,そのせいもあって憂鬱本のような歴史的悪書が日本のIT業界を蝕んでいた時期もあった. 憂鬱なプログラマのためのオブジェクト指向開発講座 (DDJ Selection)
*4:コンピューターサイエンス誌bit が廃刊になったのが2001年.政治家の皆さんはご存じないのかも知れないが,専門書と専門家の置かれてる状況なんて,ずっと前からこんなもんだ. https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1295753.html
*5:この話って,サマータイム問題に似てるんだよな.「オリンピックで困ったから,やけくそでサマータイム入れてくれ.それで対応に軽く一千億円を超える莫大な費用がかかるけど,それは一体誰が払ってくれるんですか?」という奴.国の「お願い」で発生した無駄な支出なんだから,国が負担するのがスジだよね.国以外に,いったい誰が総額表示にしてくれなんて頼んだって言うんだ. https://javablack.hatenablog.com/entry/20180813/p1