それはマッチポンプという奴ですよ

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ウェブ進化論』にしても本書にしても、グーグルが日本でこうも崇拝されるのはなぜだろうか。

それは違う.
ウェブ進化論」(と「グーグル」)だけgoogleを崇拝した書き方をしているだけ.*1一度そういう本が出ると「ウェブ進化論は間違いだらけだ!」とそれを批判する本を書くよりは,内容を焼き直して「ウェブ進化論はすごい.グーグル万歳.」という本を書く方がずっと楽です.知識もポリシーもない人ならば安易に前例にならう道を選ぶでしょう.


たしかにGoogle検索エンジンとしては後発でありながら,検索結果の質の高さから並み居る競合をうち倒してNo1に躍り出たアメリカンドリームを具現した存在とはいえ,ただそれだけです.「あちら側対こちら側」なんて屁理屈はIT業界の人はほとんど無視していると思いますよ.

先日も、田原総一朗氏に「グーグルのどこがすごいの?」と聞かれて、答に困った。検索エンジンとしての性能は、今ではヤフーやMSNなどもそう変わらない。

「検索結果の質の高さ」と「デファクトスタンダードであること」でしょうね.

広告ビジネスで考えた場合,広告主は最も利用者数の多いメディアを使いたいものです.視聴率0.1%の番組と視聴率40%の番組があれば,視聴率40%の番組でCMを流したいのは当然だ.

問題は、この先ネット広告がどれぐらい増える余地があるかということだ。(中略)経済学でよくやるように、成長とともに各メディアの広告の限界効率が均等化すると想定すると、新聞・雑誌・テレビ・ネットに各20〜25%というのが妥当なところではないか。

新聞,雑誌,テレビは「垂れ流し式」の広告であるのに対し,googleなどではユーザーの入力に合わせた広告が提供できる点が異なる.よくある例えだが「グァム 旅行 格安」などで検索をかけて「格安グァム旅行」や「格安アメリカ西海岸旅行」の広告が出るというのがコレ.格安旅行に興味ある人だけをフィルタリングするので広告の効率が良い.*2

とはいえ広告の何割が取れるかというのは不明だし,パイ自体のサイズもさほど変わるまい.ネット向きの広告がある一方で不向きな広告もあるだろう.広告ビジネスが倍々ゲームで増えるなんてGoogle内部の人も思ってないと思うなあ.だからこそヘッドハンティングと技術開発に熱心なわけで.

それにしても、グーグルの時価総額がホンダとニッサンの合計より大きいというのは理解できない。

それは株主に言ってください.株価なんてのは株を買う人が上がると思えば上がるし,下がると思えば下がるものです.実体とはなんら関係はありません.

*1:googleについての定番書籍「ザ・サーチ グーグルが世界を変えた」は別に特別扱いしていなかったと思うけど.

*2:「B29による絨毯爆撃」対「巡航ミサイルによるピンポイント攻撃」くらいの差がある.最初から全国民の大多数をターゲットにした宣伝をするなら「絨毯爆撃」で良い.しかしおそらく広告ビジネスの大半はそうではなく,ピンポイント攻撃の方が遙かに効率がよい.