トヨタ赤字の背景
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090509ddm008020107000c.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090509-00000014-maiall-bus_all
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPJAPAN-37903820090508
http://www.asahi.com/business/topics/economy/NGY200905080013.html
メモ.
意訳すると「調子に乗りすぎてました」「世間を嘗めてました」ってことでいいのかな.
増収増益を8期続け、08年3月期には売上高で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き「製造業世界一」になったトヨタ。だが、販売台数を338万台も増やす急成長はひずみを生み、景気悪化時の打撃を増幅するリスクを高めた。
06年秋稼働した米テキサス工場はその象徴。北米市場の大型ピックアップトラックブームに乗じて、最大排気量5・7リットルの「タンドラ」生産に乗り出したが、ガソリン高と金融危機で販売が激減。昨年8月から3カ月間操業停止し、今も「開店休業状態」(トヨタ関係者)だ。
「地元採用の非熟練工中心で、日本の工場のようにハイブリッド車(HV)に生産を切り替えられない」(幹部)ため、人件費や維持費など経営の重荷となっている。
トヨタにとって北米市場は、前期に世界販売の3分の1をたたき出した最大のドル箱。しかし「9割がローン販売」(自動車アナリスト)で、金融危機で新規融資停止や貸し倒れが相次ぐと、販売は冷え込み、損失拡大の温床にさえなった。
これに対し、00年以降、生産・人員を急拡大させてきたトヨタは、従業員数が04年比1・2倍、総資産も1・5倍に増え、設備・人員の大幅な過剰は明らかだ。生産能力が1000万台弱もありながら、700万台で黒字化する方策としてトヨタ関係者は「固定費削減に大なたを振るうしかない」(業界筋)と強調する。
固定費を減らす手段の1つが、工場を統廃合するなどして損益分岐点を下げる生産体制の効率化。しかしトヨタの渡辺社長は、生産設備に手をつけることには否定的で、過剰な生産能力に対してはラインの速度を落としたり、休業日を設けるなどして対応していくという。
どうなんだろね.数年でバブル期まで回復するならいいけれど,そうでないなら10年たっても過剰設備のままって可能性はあるんでは.3年後にどういうセリフを聞けるか楽しみだ.
過剰な設備と人が赤字の原因であれば,立て直すこと自体は難しくない.過去の失敗を認め,正社員の既得権益という聖域にメスを入れることができればの話だが.
http://slashdot.jp/~von_yosukeyan/journal/475351
V字回復の状態にあるのは、電子部品などで、2月から受注が急増しフル生産体制に戻ったところがある。要因としては、在庫調整が進んだこと(これは以前書いたとおり)もあるが、中国政府の景気刺激策による対中輸出の急増である。ただし、単価は以前よりも下落しているので、好調でも損益の抜本的な改善には遠いという企業も多い
海外に目を移してみると、航空機ではEADS、ボーイング両社がマイナス受注を記録した。これは、キャンセル件数が受注件数を上回ったためで、バックオーダーを抱えている状況で引渡し・生産が停止することはないのはプラント・造船と同じだが、長期的には両社の財務状態に大きな影響を与える可能性がある。好調だった環境関係でも、半導体製造大手アプライド・マテリアルズが数億ドル規模で太陽電池生産プラントのキャンセルを食らうなど、必ずしも好調とはいえない
問題は、これが雇用状況の改善に向かうかだが、かなり疑問に思える。生産が回復していると言っても、電子部品など雇用者数があまり多くない産業に集中していて、雇用者数が多い機械、自動車、建設機械、不動産、建設業などの低迷は相変わらずだ。
それは「機械、自動車、建設機械、不動産、建設業」などが「非効率で生産性が低く,国際競争力のない産業である」ということの裏返しではないだろうか.*1
*1:IT業界も人のことは言えないけどさ.生産性の低さにおいては,建設業界にだって負けないぞ.