「Oracleの「Android訴訟」についてひと言」に一言

http://satoshi.blogs.com/life/2010/08/oracle_java_android.html
指摘されてるとおり,私もポジショントークだと思う.

Androidを設計したAndy Rubinは、Danger Researchにいた時から「Java VMクローン」を作るのが専門で、当時も「Sunの知的所有権に触れずにJava VMを作った」「私が作ったVMの方が、SunのJava VMよりも遥かに実行効率が良い」と何度も自慢していた。小さなベンチャー企業がやっていたことだから、Sunも黙認していたようだが、今回は Googleという大企業で、それも複数の携帯電話メーカーを巻き込んでの騒ぎだから簡単な話では済まされない。

 そもそもの問題は、Andyが作ったJavaベースのAndroidGoogleがプラットフォームとして提供する、という戦略に出た(もしくは出させてしまった)点。明らかにGoogleの経営陣の大ミスである。Sunの知的所有権を侵害している可能性だけでなく、(AndyがGoogleに入る前にJava VMクローンを作っていた)Danger Researchを買収したMicrosoft知的所有権を侵害している可能性も否定できない。

その程度のリスクは人材の流動性の高いシリコンバレーにおいては当然のことだ.

SUN社にいた人材でGoogleに引き抜かれた人が一体どれだけいることか.*1SUNでJavaを作っていた人間がいるだけでSUNが所有していた特許侵害の「可能性」は発生する.というか,特許侵害ならいなくても発生するし,一からスクラッチで開発されたオープンソースでも訴えることは出来る.*2 そのたびに「特許侵害の可能性があるからそのビジネスから手を引く」なんてやるくらいなら,その会社は即刻店をたたんだほうが良い.

このとばっちりを受けるのは、ここまでさんざん Androidに開発投資をしてきたメーカー。Googleはいったいどう「オトシマエ」を付けるのだろう。

それはもちろんこの裁判を真っ向から受け,徹底抗戦して勝利を勝ち取ることによってだろう.今のGoogleなら,そのための金も弁護士も用意できる.*3 *4

たとえ負けたとしても,Oracleから特許を買い取る形に持ちこまなければ,Googleの信用に関わる.*5


Android訴訟については,アマゾンのワンクリック特許の話を彷彿とさせる.ソフトウエア特許は実際には役に立たない屑特許なのであり,まともな企業がそれを行使しようとすることは極めて希だ.だが,それを使おうとする企業が出ることがある.現状ではこれを避けらるのは難しい.

そして、Google自身も、JavaVMを捨て、より Chrome OS に近い形のプラットフォームにAndroidを進化させるべき。もちろん、Andyは徹底的に抵抗するだろうが、この訴訟があろうと無かろうと、長期的に見てJava VMに将来性は無い。

この部分はヒドイな−.

「ChromeOSに近い形のプラットフォーム」というのは曖昧すぎて何も言ってないに等しいし,「進化」という単語も特に意味はない.「長期的に見てJava VMに将来性は無い」とは言うけど,この主張にも根拠なし.もちろん「JVMは絶対最高と,未来JVMに決まってる!」とまで言うつもりはないけど,この部分は言いがかりにしか見えない.

http://jp.techcrunch.com/archives/20100813android-oracle-java-lawsuit/
http://japanese.engadget.com/2010/08/14/android-google/
http://d.hatena.ne.jp/lionfan/20060805

*1:VMクローンどころか,VMを作ってた人もいるんじゃないかな.というか,いて当然というか.

*2:だからこそソフトウエア特許は怖い.

*3:潜水艦特許のレメルソン特許事件というのもあったな.

*4:裁判は,中小企業がAndroidGoogleに期待するものの一つでもあるだろう.

*5:妙な例えだが,裁判を仕掛けられる度に逃げ出すのは,誘拐犯の言い値で身代金を払うようなものだ.一度でも弱みを見せれば,次からはその会社は特許裁判の良いカモにされるぞ.