エレベータの開閉ボタン
http://matome.naver.jp/odai/2135925440564258701
http://fladdict.net/blog/2013/01/cognitive-buttons-for-elevator.html
そろそろエレベータの開閉ボタンについて,一言言っておこうか.
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書)
- 作者: ドナルド・A.ノーマン,D.A.ノーマン,野島久雄
- 出版社/メーカー: 新曜社
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- メディア: 単行本
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いくつかの議論見てて思ったのは,意外にコスト意識の無い意見が多いこと.ボタンの形を変えるとか,色や大きさを変えるのが有効なのは百も承知.だけどその程度のコストでさえも正当化できる場面は意外と少ないのだ.*2
- どちらかと言えば「開く」ボタンの方が重要*3:「開く」ボタンの方を,大きく,目立つ色にした方が良いのはわかりきってる.最大の敵はコストだな.
- 「開」と「閉」だと字の形が似ているため,ぱっと見だと区別しにくい.たぶん三角形の記号(◀▶/▶◀)+ひらく/しまるの文字併記が一番無難.
- この程度の機器は日本語が読めない人間でも使えるようにしておくべき.
- 扉を手で押さえるのは最終手段.閉じるor開くボタンの省略はやりすぎ.
- タッチパネルはいろんな意味で論外:コスト,反応性,フィードバックの問題.手袋を付けたままで操作できるか?,障害がある人間でも使えるか? 等々.
と思う.*5
http://b.hatena.ne.jp/entry/matome.naver.jp/odai/2135925440564258701
- id:navi-area26-10 ボタン一つで、開いてる時に押したら閉まる、閉まってる時に押したら開くでいい様な気がした。
- id:mitimasu ボタンを1個にして「閉」「開」をトグルさせればいいのでは。
非常に良くないと思う.
そういうモーダルなインターフェースは,その時のモードによって動作が変わるため混乱し易い.特にエレベータにおいては操作するパネルが一つとは限らず複数の人間が同時に操作する可能性があるため,この問題が大きくなる.*6 たとえば扉に直接触れて開けようとした直後に,それに気付かずに開けようとして[開閉]スイッチを押した人がいると,意図したものと逆の動作をして出入りしてる人が挟まれることになる.
操作する人数が増えるほどこの問題は深刻になる.*7
- id:nanakoso 最近できた公共エレベータは開くボタンが色違いででかい。 そこはもう通り過ぎてるんですよ(あと○×は外人に通じないよ! http://blog.livedoor.jp/janews/archives/6109465.html)
- id:twoterabytes 倉庫とかの業務用エレベーターは閉まるまでの時間がだいぶ長く設定されてるから、閉まるボタンなくなると困る。・・・そんな特殊事情は聞いてない?そうですよね。
*1:今見ると,この作者の著書も結構でてるんだな.フォローしきれてないけど.
*2:ましてや既に使われているエレベーターのボタンを変更するためだけに,新しいエレベータに入れ替えるなど論外なわけで.
*3:閉まりかけたドアを「とっさに開く」必要があるのは開くボタンだから.閉じるの方にはそういう緊急性が無い.どちらか迷うくらいなら,ほっとけば勝手に閉まる.
*4:Kindle Touch/PaperwhiteのUIなんて,iPhoneユーザーでも初心者はほぼ100%混乱するよ.Kindleはユーザーが学習して使うものだからこれが許されるが,エレベーターでは高い学習コストは許されない.
*5:「老人や視覚障害者や外国人も使用できるようにする」という要求仕様が漏れてる人が意外に多いイメージ.
*6:たとえば多い時だと入り口の左右に一つずつ,車椅子用が左右の壁に一つずつ,加えて入り口の左右にも物理的なスイッチと,入り口外側の左右にもスイッチがある.
*7:一人しか乗ってなければその問題は起こらないが,一人しか乗ってないならそもそも開け閉めで悩むことも無い.「開」ボタンが必要なのは,乗降する人数が多い時や車椅子利用者がいる時,大きな荷物を載せたりする場合で,大型エレベータほどこの問題に直面する可能性が高い..