「非エンジニアが出すネットサービスのアイデアがショボくて実現不可能なワケ」?
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20131013/p1 を書いた後,以前メモ書きしてたのを思い出して発掘.腐った論旨が似てると思ったら,同一人物の記事か?
- 「エンジニアが作るネットサービスのアイデアがしょぼいワケ」http://engineer.typemag.jp/article/fshin16
ダウト.
完全に釣りタイトルで釣り記事
それは職業エンジニアとして悪いことではないと思うのだが、このような仕事をしてきたエンジニアが新しいネットサービスを考えたりする時の最大の問題点は、アイデアを考える時、例えば仕様の話を人から聞きながら、マルチタスクで「それって実現できるかな!?」ということを現実的な発想で考えてしまう癖があることである。
それが強みなんだよ.
実現不可能なアイデアなんかのために時間を浪費しなくてすむから.最近だとDoCoMoのSPモードメールが有名だっけ.*1
ブレーンストーミングの段階で実現可能性を後回しにすることはあるけど,そうでなければ実現可能性を度外視したアイデアなどビジネス的になんら価値はない.
- 技術的制約にしたがってしまうエンジニア
- ユーザーベースでサービスを考える天才クリエイターたち
ダウト.
そもそも「天才クリエイター」であることと「エンジニア」であることは排他ではないよ.理想は天才クリエイター且つエンジニア.「自称天才クリエイターだから技術のことは分かりません」な奴は三流.
また自称クリエイターから見て「技術者は否定から入る」ように見えるのは,単にこういう人がバカだからではないか.
少しでも技術的センスのある人からすると荒唐無稽で実現不可能なアイデアでさえも,技術的素養のない自称クリエイターからは「これは素晴らしいアイデアだから大ヒットしますよ!」「オレはデザイナーだからアイデアを出すのが仕事.それの実現方法を考えるのはお前ら下っ端技術者の仕事でしょ!」的なことをマジな顔で言ってくる奴がいる.
技術的に実現可能で簡単に売れるアイデアなら,とっくに誰かが実現して既に商品化されている場合が多い.実現されてないということは,技術的・ビジネス的に実現困難だからであって,技術の分からない思いつきだけの「アイデアマン」のアイデアが高い確率で実現不可能なのは驚くに値しない.そんな「技術的に困難であるが故に誰も手を出してないアイデア」が,常に技術者からNOを突きつけられるのは当然の結果だ.
- 「ITアントレプレナーになりたい若者のみなさんはプログラミングを習得しましょう」 http://www.chikawatanabe.com/blog/2010/04/lean_startup.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/engineer.typemag.jp/article/fshin16
激しく同意.
他社が実現できないほどには実現困難で,自社が実現できるくらいには実現可能な,そのギリギリの所にビジネスチャンスがある.
技術的判断のできない人には,そのギリギリのラインが見えない.だから高確率で失敗する.
- id:kijtra 難しいところだね。「大きいムード」や哲学を優先した結果、予算と期限をオーバーするか、制約に縛られてショボイものになるか・・・その間のちょうどいいとこを取れるといいものができるんだろうな。
- id:kawango 分かってると現実的な解を見つけられてしまい、しばしば平凡になるのはそうだけど、ギリギリ狙うにはエンジニアの知識は必須。
- id:shields-pikes ちゃんとフェーズを分ければ、一人でも両方考えられるのになー。ブレストの時には出来ない理由を考えちゃダメだし、要件定義の時には大風呂敷を広げちゃダメ。これらを繰り返すこともある。
ブレーンストーミングと技術的観点からの実現可能性の検討.
技術者ならば両方出来る.でも非技術者はブレーンストーミングはできても技術的観点からの検討が出来ない.だから彼等のアイデアは発散するのみで収束しない.
- id:algonrithm 広げた風呂敷をうまくたためるかどうか考えていたらいいアイデアはでないよね、という話と読んだ。たためなかったときにどうなるかは考えちゃいけないんですよねきっと。
畳めなくなると技術者が死にます.アイデア出しただけの奴は何も責任とらんしな.
- id:potato777 うちはエンジニアが無理無理言いすぎて、企画職がしょぼいのしか持ってこなくなった。
それは企画職に技術力がない似非企画職だからじゃないかと.
技術的なことも分かってる真っ当な企画屋ならば無茶な意見には反論できるし,実現不可能なアイデアなどそもそも持ち込まない.
- id:fromzero2 エンジニアがっていうよりは、ハイリスク・ローリターンな職務環境に置かれるとそういう傾向になってしまう気がする。エンジニアの方がリスクが良く見えて、リスクを背負う側だからその傾向が更に顕著に。
- id:tt_clown この手の話は「誰が言うか」に依る気もする。壮大な事を言うのが、後の事なんか知るかって感じの営業とかコンサルだったら「お前がやれよ」で終わる。失敗に寛容かつ信頼のおけるチームじゃないと辛いかな。
- id:kwsktr 言い出しっぺが責任取らされる文化があると、風呂敷広げたくなくなってしまうみたいなのはあるよね。作るのはどうせ、俺なんだろ?じゃあ、すげえのやってやるよ!!!とはならないんだよな。
- id:shibacow または、サラリーマンの来期達成目標がしょぼい理由。自分が言った事に責任持つなら、しょぼくなるよ。無責任で良いなら幾らでも放言できる。
- id:yoiIT ブレーキ持ってるのにあえて使わない人とは仕事しやすいけど、ブレーキがぶっ壊れてる人と、そもそもブレーキ持ってない人と仕事するとめんどくさいよね。
- id:bloger30 サービス開発は、希望的観測ではなく現実主義に基いてないと巨額の赤字を出すパターンになることがほとんど。ただし、エンジニア自体のレベルが低いと、実際はできることもできなくなることがあるとは思う。
- id:damedom 技術的にどうこうよりも大抵はリソースの問題。大言壮語吐くならビジネスプランしっかり立てて金出すひとを説得して十分なリソース確保しないと。
- id:eternal-shining 技術的な面で言えば自分も反省すべきものがあるが、プロデューサーは組織や会社の立ち位置、手持ちの人員リソースなどで、ここで言うエンジニアと同じような判断をしていないか考えて欲しい。
「それ作るには今の十倍の技術者と3倍の期間と,それに見合う開発費が必要です.用意して下さい」と言っても用意してくれないんだよね.大抵は否定から入る.大風呂敷を広げるなら相応の人と時間と金を用意してくれ.
- id:yumu19 わかるんだけど、非エンジニアが作るネットサービスのアイデアもしょぼいし、結局イケてるウェブサービス作るの難しいよね、って話でよいですかね。すごい人はエンジニアだろうがクリエイターだろうがすごい。
- id:yopita 作れるかどうかは、よぴたはアイデア段階ではあんまし考えてないんだけど、自分が作ろうとなると、技術力がないせいか、どんどん機能が削られていくか、作り終わらないという不思議現象…orz
- id:anritakenaka アイデア出ないのはブレーキ踏んでるからじゃない。これだとブレーキ踏まなかったら出せる様な言い方じゃん。アイデアは訓練をしないと出ない。実現性を考えてしまう云々は全く関係無い。単に練習足りないだけ
- id:typex2 全く逆だろう。技術を全く知らない人間がネットサービスを作っているのが原因で、日本のIT産業が軒並み衰退しているのですよ。。
- id:shuitic 理論的には正しい。でも非技術者が作った、限界ギリギリの技術で作った、成功しているネットサービスは思いつかない。技術の問題ではない気がする
- id:reitanigawa おっしゃる通り。なのだが、できるか、どうかはこっちが決めるから自由な発想を持ち込んでよといっても、既存のサービスの焼き直しみたいなアイデアしか企画から出てこない
- id:bakebakebake アイデアの良し悪しは職種関係なさそう。自称クリエイターな人が出してくるアイデアってそんな斬新ですかね。
- id:hush_puppy ありすぎて困る・・・/成功させるには技術も企画もどちらも欠けず両方できる人間がいるのがそもそもの前提条件なんだろうな
- id:exfreeter だから、エンジニアが起業するなら企画も自力でやるのが良いんだよな。自分で考えたアイデアなら技術的にしんどくても頑張れるから。ポール・グレアムが技術者同士のチームで起業しろというのもこれが大きいと思う。
- id:naming11 哲学を実装するのがエンジニアの仕事だというのは広く信仰されているコンセンサスだと思ってたけど、ブコメみてるとそうじゃないのかも、って不安になってきた
それトンデモじゃね?或いは誤訳とか.
そもそも「哲学」なんて抽象的すぎるものは,相手にさえされない.*2
「DeNAで山ほど失敗して学んだ 新規事業企画のコツはないというコツ」
http://www.dhbr.net/articles/-/1967
ちょっとだけ関連する気がする.
その中で、一貫して関わったのが、新規事業の検討や立ち上げで、指折り数えてみても、数十の新規プロジェクトに関わった。
残念ながら多くのものは影も形もなくなってしまったし、成功した事業でも僕が関わった部分は限定的だ。成功率も低ければ、最初から最後まで自分で立ち上げたと言えるほどの代表作もない。それに過去の自分の企画を思い出してみても、後悔するポイントばかりが頭に浮かぶ。はっきり言ってしまえば新規事業立ち上げの定石や普遍的なコツというものは、未だにさっぱり分からない。
1つは、うまくいくかどうかは事前に分からないことを肝に銘じ、企画を練り過ぎたり、テーブルの上で議論しすぎたりしない方がいい。新サービスは当たり前だが「新しい」わけで、古い情報は参考にしかならない。
- 作者: エリック・リース,伊藤穣一(MITメディアラボ所長),井口耕二
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つまり,「これが優れた新企画だから,やれば必ず成功する」みたいな企画なんて滅多にないこと.
その際、僕が意識するのは、核となる事業アイデア以外「できる限り発明をしない」ことである。サービスそのものに新規性が高い場合、マーケティングやロジスティクスなどには逆に新規アイデアや危うい仮説はまったく入れないぐらいで丁度いい。仮説や発明の組み合わせを掛け算していくと、新規事業の成功確率と投入速度はどんどん落ちる。同時にチャレンジすることが多いと、失敗した時にも理由がわかりにくい。一歩目がうまくいったら、1つずつ仮説やアイデアを足していけばいい。
事業企画は積み木で城を作ることに似ていると思う。城の形の検討には独創性が必要だが、素早く安定感を持って積むためには、ありふれた積み木でガンガン土台を作ることが先決だ。良い形の積み木がなかったら、誰かが同じような状況で使ったものを試せばいい。それすらなかった時に始めて自分で作ることを考えべきだ。自分で木から削りだして作る積み木は、概ねいびつで、強度も不明でつくるのも時間がかかる。
次に,技術的とは限らないけれど,アイデア以外では冒険をしないこと.
この考えを元にすると,企画を構成する技術部分が新規で今だ実現可能かどうかも分からないものばかりだと,成功はおぼつかないことになる.多くは既存技術の集大成だし,だからこそ既存技術で実現可能であることは,企画を作る段階で念頭に置いているはず.技術的な実現可能性を度外視して,大風呂敷を広げることを良しとしているわけじゃない.