フラッシュ・クラウド

ニーヴンの短編「フラッシュ・クラウド」を連想した.*1

  • id:ytn SFシナリオとしては下の下
  • id:megazalrock 想像力を駆使した記事なのに、想像が浅すぎてクソ記事化してる。
  • id:You-me 歴史と経済学とSFとドラえもん、全てにうといことによって生まれた廃棄物のようなエントリ

激しく同意.

「高精度のカラーコピー機が発明されたら,偽札が大量に印刷されて世界経済が崩壊する!」って言ってるのと大差ない.考えが浅すぎる.


むしろ「ミシン打ち壊し運動」とか「イノベーションのジレンマ」的な話で,経済学的にも定番ネタだと思う.ある種の古い産業には大打撃かもしれないけれど,世界経済全体としては大きくプラスになる.起きるとすれば「大恐慌」というよりは「産業革命」だよね.

どこでもドアが発明されたら衰退するもの:
旅行…瞬間的に移動できるため需要減。HISやJTBはかなり厳しい。

いやむしろ旅行は爆発的に広まるでしょ.

儲からなくなるのは航空会社であって,移動コストが安くなることで旅行客自体はむしろ増えるはず.*2

LCCや格安航空券が登場したせいで,人の移動は減りましたか?逆でしょ.

旅行産業と航空/鉄道/バス会社とは区別しなきゃ.HISやJTBはむしろ儲けが増えるはず.たとえば英語も満足に話せない日本人なら,海外旅行の手配なんて可能なら他人任せにしたいしね.

レストラン…本場のものが本場で食べられる時代に。

これも同じ理屈.駅前のレストランは減るかもしれないけど,レストラン産業自体はむしろ発展するだろう.「山の上の展望レストランで,取れたての海の幸が食べられます」みたいな話が当然になるわけだから.

冷蔵庫や輸送技術が発達したせいで,レストランが衰退しましたか?逆でしょ.*3

倉庫…物流拠点などが不要に。すぐに配送可能になるため、需要減。

物流拠点としての倉庫の必要性はなくならないと思う.たとえばAmazonが自前の在庫を持たずに「この本は在庫切れです」だらけでビジネスをできるとは思えない.

たとえばコンビニみたいな小さな店舗がそれぞれの倉庫や在庫を持つ必要は無くなって,物流拠点から転送機で直接棚に並べられるかもしれんけど.

http://b.hatena.ne.jp/entry/cards.hateblo.jp/entry/dokodemo-door-keizai/

  • id:ka-ka_xyz テレポーテーションの手法やコストに応じて社会へのインパクトがどんだけ異なるかっていうネタでラリイ・ニーヴンが短編一本書いてる。 http://www.amazon.co.jp/dp/4150103275 収録。「テレポーテーションの理論と実践」

無常の月 (ハヤカワ文庫 SF 327)

無常の月 (ハヤカワ文庫 SF 327)

http://www.e-reading.club/chapter.php/75689/7/Niven_-_All_The_Myriad_Ways.html
うおう.そういえばそんなのもあったような.

  • id:discordance 例えば、もし初詣客約300万人が一斉に明治神宮までドアを使用したら、大規模な事故が起こる。車と同じく普及する過程で「どこド交通法」が作られるだろうし、大恐慌を起こすような使い方も取り締まられるんじゃない?

前半はかなり「フラッシュ・クラウド」よりの話.

  • id:damae このエントリは教養としてのSFの重要性を示していると考えられるな。SF読んでいないとこんなに想像力が貧しい人間になります!/あのひみつ道具の数々があったら夢想するのは働かなくても暮らせる世界じゃないのかね
  • id:t_z 損をするのは変われない人だけだよね。車が売れていく中、馬車を続けて他業種を学ばなかった人が最終的に無職になる。「この業界は変わらない」という人ではなく、「この業界はこう変わる」と言える人でありたい。
  • id:komayuri 運用エネルギーや永久機関は置いといて経済だけで考えても、衰退業種の生む付加価値よりも世界中で不要になるコストの方が圧倒的に大きいので、総合的には飛躍的に発展すると思う。
  • id:spacefrontier ヤマトや日通・佐川はこれを利用して大儲け。辺鄙な観光地も大賑わい。警察・税関は対応が大変。利用法が国際条約で決められる。/ こういう思考実験は面白い。損する側は運が悪いと思って諦めるか対応するかの選択。
  • id:dfk3 現実的に言えば、何処でもドアの消費エネルギー、搬送能力、生産コスト、安全性etcのパラメータ次第で未来予想図は大きく変わる。単純に世にあるなしでは結論は出ない。
  • id:fusanosuke_n どこでもドアがエネルギー保存の法則を破らないようになんらかのエネルギー収支がつくと考えるのが自然だろう。10光年以内の距離しか移動できないという制限はあったがそれ以上の設定はないようだ。
  • id:paradisecircus69スマホ登場→ケータイ無くなる」「iPad登場→PCが壊滅」みたいな発想
  • id:rider250 どこでもドアの製造と稼働にどれだけのエネルギーが必要かそのエネルギー源は何かが不明のままだから「エネルギー産業の衰退」はホントか?と思ってしまう。自動車で飼い葉は不要になったが石油が必要になった如く。
  • id:daibutsuda (30年前)「インターネットなんてできたら世界は大恐慌だ!」⇒(現在)インターネットは便利だし、恐慌になんてなっていない。
  • id:ikd18 どこでもドアだけあっても言語の壁はどうしようもないから通訳業が儲かるな。ほんやくコンニャクがあればガラっと変わると思うけど。
  • id:hobbling テレポート装置の発明で全てのセキュリティ・プライバシーが破られ、世界が崩壊するSFがあったな。アジモフだっけ?

過去を見ることのできる装置で、いろんな物が崩壊って短編SFなら読んだことはある.作者やタイトルは思い出せん.

追記:アシモフの「死せる過去」のようだ.

地球は空地でいっぱい (ハヤカワ文庫SF)

地球は空地でいっぱい (ハヤカワ文庫SF)

「では過去とはいつから始まるのだ?
1秒前も100年前も過去は過去だ。では君の1秒前の振る舞いも、過去として、世界中の誰もが見ることができるようになる、誰もが誰かの数秒前の過去を見ることができるのならそれはプライバシーの崩壊ではないのか?

君は世界を地獄に変えたんだ。もうこの世界に個人の領域は存在しない」

http://occult-atoaji.sakura.ne.jp/?p=9226
  • id:naya2chan いやちょっと待て、そんな生易しいものじゃないだろ。金庫だって大統領執務室だって、NORADだって行けるんだぜ?

もしそこまで危険な代物ならば,
1、転送妨害装置が発明され,ほとんどの建物に装備されるようになる.或いは探知機が整備され,違法転送機を使用するとすぐに逆探知されて身元が特定される.
2、さもなくば転送機は極めて危険な装置として,その生産,所持,使用は法律で厳しく取り締まられる.
のどちらかになると思う.*4

ちなみにスタトレ的には前者.転送機が作られれば,それと同じ原理に基づいた転送機ジャマーや探知機が作られるのは,そんなにおかしな話じゃないと思う.

  • id:mats3003 どこでもドアがあるのにタケコプターもある理由を考えないと、この手の話はかなり上っ面。

同意.

たとえば自動車には輸送のためのトレーラーなどもあるのでね.たとえばほんの数十キロの荷物ですら,担いで歩くのは楽ではない.まして建設資材の輸送とかは,自動車抜きでどうするつもりだ?

  • id:ghostbass どこでもドアが消費するエネルギーが実は隣の宇宙から採取されてて枯渇寸前のエネルギーを守るためにそこの住人が攻めてきて…

「神々自身」はチト違うか...

神々自身 (ハヤカワ文庫SF)

神々自身 (ハヤカワ文庫SF)

The Gods Themselves: A Novel (English Edition)

The Gods Themselves: A Novel (English Edition)


*1:「ガラスの短剣」に収録されてるんだっけ?

*2:移動そのものが目的である豪華客船とかオリエント急行みたいな一部の列車はむしろ増えるかも.どこでもドアがあれば,太平洋をクルーズ中の豪華客船の途中下車とかできるんだぜ?
新幹線とか旅客機は不要になるかもしれんけど.

*3:ステイシス・フィールドは,レストランにとっても強い味方.

*4:その亜種として,「危険な転送はできないように強力なプロテクトがかけられていて,無理に解除しようとすると自爆して二度と動かなくなる」みたいなのもあるかもしれない.