人工冬眠への挑戦

「人間は長期間の宇宙旅行で「冬眠」することはできないかもしれない、その理由とは?」
https://gigazine.net/news/20220502-space-travel-hibernation/

人間の場合、たとえ1日に消費するエネルギーを数百キロジュールに抑えられても、1年間の宇宙旅行を冬眠状態で過ごすとなると、1年で体重がおよそ2kg減少することとなります。太陽系の他惑星など、比較的近距離の宇宙旅行なら問題ありませんが、もし何十年もかけて宇宙旅行を行おうとした場合、数百kgも脂肪をつけるか、合間合間に冬眠から目覚めて脂肪たっぷりなラード入りミルクシェイクを何杯も飲むしかありません。

もっと普通に点滴みたいなものを使うと思うが,基本的にはそうなるんだろう.*1


*2


ニーブンのSF「時間外世界」に出てくる技術は,この人工冬眠に近いタイプ.

https://manuke.seesaa.net/article/26296765.html

タップリの脂肪を付けてから冷凍睡眠に入っても,数十年たって目覚めた後はすっかり体力が落ちていて,再び冷凍睡眠に入るために十分にカロリーを(おそらくは筋肉や脂肪を)蓄える必要があった.
他に文字通りに冷凍する奴も出てくるんだが,言うまでもなく冷凍する段階で細胞が破壊されているので蘇生は不可能.単なる氷漬けの死体でしかない.


また冷凍睡眠中も老化するので,数十年眠ってれば何もしなくても目覚めた時には,その分だけ老人になってた.*3

*4

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/gigazine.net/news/20220502-space-travel-hibernation/

  • id:daisya 考えてみたらコールドスリープで加齢が止まってんの、冷凍庫に入れた食べ物は賞味期限が無くなるという非科学的な発想と何が違うんだって感じだな
  • id:white_cake 人体を冷凍すると細胞壁が壊れてしまって、解凍後の細胞復元が困難という方向の話かと思ったのに……。動物と同じ冬眠だったら、そもそもそんなのを数十年するメリットはあまりないのでは……?
  • id:takuyayagi27 やはり時間経過が遅くなる停滞フィールドを開発するしかないのかぁ

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%81%9C%E6%BB%9E%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89
 

  • id:suika-greenred フィクションの人工冬眠を再現するなら、冬眠中の老化を遅らせる方法がセットじゃないとどうにもならんと思うんだが。寝てるあいだに寿命が尽きてしまう
  • id:minamihiroharu 「何十年もかけて宇宙旅行」 輸液でどうにでもなるだろと思ったが、それよりも目覚めた時には後期高齢者とかブラックジョークだよな。

「時間外世界」だと,テラフォーミング用の播種ラムシップの乗組員として使い捨てるので,全寿命を費やしてでも片道キップで行ってくれれば国益になるのです.人権なにそれ美味しいの.

 

  • id:white_cake 人体を冷凍すると細胞壁が壊れてしまって、解凍後の細胞復元が困難という方向の話かと思ったのに……。動物と同じ冬眠だったら、そもそもそんなのを数十年するメリットはあまりないのでは……?

上記「人工冬眠への挑戦」より,

リスなどの小動物では,体温が0℃近くまで下がるのに対して,ずっと大型のクマでは,冬眠中も体温は30~34℃程度までしか下がりません.
(中略)
しかしこの程度の体温の低下でも,クマの代謝率は通常の体温(人間と同じ37℃)時の約25~50%まで低下し,それに合わせて心臓の拍動も通常時の50~60回/分から5~8回/分程度まで下がります.クマはこの状態で100日間にわたる冬眠をします.その間,飲まず食わずで,排尿も排便もしません.

宇宙旅行だと酸素や水や食料を持ち運ぶコストがバカにならないので,それが半分以下に減らせるというメリットは無視できないでしょう.仮に火星移民船ができたとして,人工冬眠を使えば同じサイズの船でも倍の人間が運べるようになるということだから.*5
 

  • id:htnmiki なぜ動物と同じ冬眠だと思ったのか……

そういう方向で研究が進んでいるからでしょう.

まだステイシスフィールドは実現できそうにない.氷漬けの死体は論外.

  • id:paradisecircus69 SFに登場するコールドスリープは、確かに言葉上は冬眠だけど実質冷凍保存なので、動物の冬眠ではなくて冷凍食品とかに近いイメージだったが?
  • id:nagaichi 同趣旨のツッコミ多数だが、SFに出てくる冷凍睡眠はクマの冬眠とは全く別の概念だし、代謝はゼロだろ。

たしかにSFガジェットで出てくる奴ではそういうのが多いけど,「SF」と一括りにするのはよくない.

ニーブンの作品限定でも,「氷漬けの死体」と「冷凍睡眠(人工冬眠)」と「ステイシスフィールド」的な技術は区別されてる.
https://javablack.hatenablog.com/entry/20180531/p1

*1: 点滴だけでは栄養が不足するとか,筋肉が衰えたり骨粗鬆症が進んだりするとか,いろいろ問題があるようだが.

*2: より新しい,こういう本も出てるらしい.

「・冬眠する動物は多岐にわたることから、特定の動物種が獲得した特殊な能力ではなく哺乳類に広く存在する機能であり、また通常の体温調節機能の可逆的な変容によってもたらされるものである可能性が高い。
・実際に近年、冬眠しないマウスなどの哺乳類においても、神経系の操作により冬眠に似た低体温状態を誘導できることが明らかになり、中枢制御による人工冬眠の実現にも光明がさしはじめた。
・将来の人工冬眠の実現を視野に入れたさらなる研究展開が期待されるところであるが、中枢性の制御機構にくわえ、末梢臓器の低温耐性機構の理解も含めた、体温調節機構とその拡張モードとしての冬眠の理解が求められる。」

*3:多少はマシだったかな?

*4:藤子・F・不二雄の「カンピュセスの籤」も似たようなタイプかな?老化は顕著ではないようだが.

*5:なお冬眠する動物の方が寿命が長いことから「冬眠中はで老化も押さえられるのでは?」みたいなことも示唆されていたけれど,確証はない.まして人間でどうなるかは,やってみなければ分からない.