あとは白旗をあげるだけ

http://d.hatena.ne.jp/hanahi/20091003/p3
あれの続きになるのかな.

 最初から国内市場しか見てないから投資もマンパワーも大きくできない。最初から世界市場を目指して投資や人材確保をやってきた海外の企業に比べるとスケールメリットが出せないから、性能も利益率も低い製品しか作れない。(サービス残業とかである程度はカバーできても)

 そうこうしてるうちに、海外企業の製品が日本市場にも入ってきて自社の売上げが落ちてくる。その時になってようやく経営陣も慌て始めて、何とかしろと現場を叩く。よくあるパターンは、現場にその海外企業の真似をするように強要する。

この辺の話も,それと同じことじゃないだろうか.日本企業はこうやって昔から敗戦の歴史を綴ってきたのではないかと.

日本の半導体産業はどこで負け組みに転じたのか。

結論から言うと、半導体設計支援ソフトの開発で負けた時に、もう勝敗は決していたのだろうと思う。

当初、日本の半導体メーカーはどの会社も、半導体開発のためのソフトを自前で開発していた。これをある時期から大半をアメリカ製に頼るようになった。何でもかんでも自前がいいというつもりは無いが、なぜここで負けたのか、という点には、反省すべき点が山ほどある。この戦いで勝てないのに、他人のふんどしよろしく購入したツールで勝負しようなどと考えたのが甘すぎたんじゃないのか。

http://d.hatena.ne.jp/chintaro3/20090414/1239774027

なぜ日本のCADは敗れたのか。いくつか勝手な思索を巡らすことはできる。

  • CATIAのチームは分離独立したが、日本の内製CAD開発チームは分離独立しなかった。その理由は、当時の日本の終身雇用制度と関係しているだろうか。当時の開発チームには、分離独立して成功したいというモチベーションは発生しうるものだったのか。
  • 「バブル時代」から「失われた10年」にかけて、CADの開発状況はどうだったのか。
  • 製造業として強くなりすぎたことが、逆にCADを強く育てられなかった原因になってしまった、という可能性はないだろうか。
  • ゼネラリストを育てるローテーション人事のような日本的経営においては、プログラマも入れ替わりがあったはず。このことはCAD開発チームのプロジェクト運営にどう影響しただろうか。
  • 製造業において、ソフトウェア開発部門の地位や立場は、他の部門と比べてどうだったのか。
http://d.hatena.ne.jp/u_1roh/20090505/1241531975

よくあることなのだとは思う.いくら精神論を唱えても家内制手工業でゼロ戦を作っていては,戦争には決して勝てないのだ.

国境線がない製品で戦うからには,世界市場でNo1を取らなければならない.生き残れてもせいぜいNo2や3までだ.国内市場むけのショボイ内製品でちんたら蠱毒な殺し合いを続けているうちに体力を削り続け,満を持してB29の編隊がやってきた頃には,もはや戦うための技術も体力も無くなってるだろう.

竹槍しかないのにB29の大部隊が襲来した時にできることは白旗を揚げることくらいだ.それで攻撃の手をゆるめてくれたらいいんだけどね.

http://d.hatena.ne.jp/LibrePDM/20090507

言い換えれば、3次元CADがコモディティ化したということだと思います。自動車メーカー各社では、今や3次元CADそのものは差別化の源泉とは捉えられていないように思います。むしろ、3D図面標準化WG 活動紹介(PDF注意!) で目指しているように、ライバル各社が互いに協力して相互運用性を高める方向に進んでいます。オープンな業界標準を作ることにより、サプライヤも含めみんながハッピーになる方向へ舵を切ったと言えるでしょう*1。

それでは答の半分にしかなっていない気がする.

コモディティ化することにより内製する理由が無くなったというのは理解できる.そうすれば生き残れるのが,ごく一握りになるというのも分かる.それでは「なぜ,日本製CADが生き残れなかったのか?/海外製CADに完敗したのか?」という疑問には答えていない.コモディティ化が理由ならば,仮に勝ち残るのが世界にたった一社だとしても,それが日本製でも良かったはずではないか?*1


ところで,

と思います。イノベーションへの解 収益ある成長に向けて (Harvard business school press) に書いてあるとおりで、

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

イノベーションへの解 利益ある成長に向けて (Harvard business school press)

こっちはともかく,

Railsが成功しEJB3が失敗したわけ と同じ理由ですね。

こっちは乱暴すぎるだろ.RailsEJB3では言語も設計思想もターゲットとする市場もそれをめぐる情勢も全部異なる.むしろEJB vs SpringやStrutsとで比較すべき.

*1:もし同等の製品が提供できていればの話だが.おそらくは人員も開発費も技術力も機能も品質も雲泥の差であっただろうというのは想像に難くない.日本企業のソフトウエア技術に対する無知ぶりは,今でも想像を絶するほどに悲惨なものなのだ.