続・ドワンゴ寄付金強要事件

http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20140303/p1の続き.
通称「ドワンゴの受験料問題」.

妙ちきりんの日記

まさかドワンゴ人事部は,こんな与太話を信じたんじゃあるまいな...

「ちきりん」といえば,妙ちきりんで荒唐無稽な駄文を書き散らしている阿呆だぞ.釣り師としてはそこそこ有能なのは認めるが,頭はすごく悪い.*1

トラックバックなし,コメント欄なし,ブコメも閉鎖してる時点で,こいつの姿勢も分かろうというもの.ブコメ閉鎖を使ってる有名人(笑)って,池田信夫と妙ちきりんくらいじゃね?*2

BE PRESENT. blog「就活生は、入社試験有料化に物申す」

http://prokcy.hatenadiary.com/entry/2013/12/06/031612
それについて反論をまとめたいと思っていたけど,うまくまとまってるのがあったので紹介.
ほぼ全面的に賛成.ドワンゴ関係者は,これを読んで,妙ちきりんとどっちが正しいか自分の胸に手を当ててよく考えてもらいたい.

  • 全員を一回受験させただけで、その人の適正が一発で判明するテストがこの世に存在するなら、その導入費用を企業が負担しなくていい(すなわちすべての企業が採用できる)ことはプラスに働くかもしれないが、現実にはそんなテストは存在しない。
  • 問題は1についてであるが、お金がかかるため学生が真剣に企業選びをするようになるというのは、当たり前のように見えて、実はそうでもない。
  • 大学受験において、なぜ受験料が増加しても大学を受験する人が減らないかというと、そもそも受験というのは、それぞれの学校の入試問題を解くのに必要な対策をかなりの長時間強いられる性質がある。早稲田の政経が受けたい受験生と、一橋の商学部が第一志望の受験生では、求められる対策がかなり違ってくる。
  • また国立大学(前期)は一校しか受けることができないため、お金がかかるか否かにかかわらず、当然受験校を絞る必要がある。受験日の日程のスケジュール調整も大切だし、体調の管理もシビアである。お金がかかろうとそうでなかろうと、受験生は必然的に受ける大学を絞らざるをえない。
  • 受験料についても、一般的な家庭なら親が負担するだろうし、受験料が高額だから行きたい大学を絞れ、という親はそもそも滅多にいない。なぜなら親は、自分の子供にできるだけ偏差値の高い大学に行ってほしいのであって、自分たちの財布の中身の事情のせいで、子供の将来の可能性を損なうかもしれないということには耐え難いからである。
  • つまり、入社試験で受験料を課したところで、ちきりんの言うように、「家庭の経済事情によって就活に不利・有利が生じることはない」だろうが、それは親が受験費用をなんとかして捻出しようとするか、もしくは自分の可能性を一つでも残しておきたい働き者の大学生が、学業をおろそかにしてまで必死にお金を貯める結果である。
  • しかしちょっと待て。そもそもこの主張、受験料を導入する是非とまるで関係がなくなってしまっている。
  • とにかくちきりんは、大学生がとりあえず知っている企業とイメージだけで就活をする大学生がいることに苦言を呈しているだけであって、受験料制度を導入するとその状況が改善される、ということについてなんの根拠も示していないし、論点がずれている。


あと挙げるとするなら,こんなところだろうか.

  • 大学の過去問が売られていて,そのテストでどのくらい点がとれるか事前に試すことが出来る.企業は採用面接の内容に関して原則非公開.外資系企業だと,最初にNDA契約にサインさせられることもある.
  • 大学入試は入試科目と配点についても分かっている.一方で採用面接の方は科目も不明だし評価基準さえ公開されていない.評価はまったくの密室で行われており,公平性のかけらもない.
  • 大学受験では,入試科目や学部学科が同じであれば,偏差値によって大まかな大学の序列が決まっていて,難易度もそれに比例する.だから「今の成績では,この大学は厳しいからワンランク落とす」という選択もできる.一方の企業面接ではそういう序列がほとんどない.せいぜい給与の善し悪しだが,それさえも残業時間や転勤やパワハラの有無,残業手当未払いや必要とされるスキルや仕事内容,将来性等々によって大きく変わるため,あまり役に立つ指標ではない.
  • 受験では何度も模試を受けて,合格ラインとか合格する可能性がある程度わかるので,合格する可能性がまったくない大学に応募することがない.一方で企業面接では各社ごとの評価基準や採用人数が不明なため合否予測は不可能.
  • 大学には定数があり,その定数を元に一定数辞退することも考慮して合格者数が決められる.一方で採用面接では定数というのは無いに等しく,欲しい人がいれば採るけどいなければ全員不合格というのが普通だろう.*3
  • 採用人数とも関連するが,基本的に大学はどんなにバカでも一人でも多くの学生を抱えた方が授業料が増えた分だけ売り上げはあがる.一方の企業ではバカな社員を入れると売り上げが下がる.*4 単純な競争率だけでは採用の難易度が測れない理由の一つがこれ.
  • 大学受験は,試験だけでほぼ丸一日潰れる.さらに場合によっては現地への移動にもう一日必要.頭脳労働なので適宜休息も必要.一方の採用面接は面接は1時間かそこらだし頭を使わないので休息も不要.
  • 書類審査で相当数落ちるので,それも加味して多めに提出しておかなければならない.たとえ100社に応募しても,実際に1次面接までいけるのはその1/2〜1/3かもしれないのだから.しかもそれを事前に知る方法はない.
  • 日本は新卒カードが凄く重要.新卒で就活に失敗して就職浪人してワープアになったりブラック企業に行ったりIT業界に逝ったりすることによる損失は2500円どころじゃない.本当に良い企業なら100万やそこらは1年で元が取れる.ブラック企業に逝くくらいなら,金をドブに捨てた方がマシ.


その方面について書かれたブログを見つけたので追記.


Java Programming Interviews Exposed (English Edition)

Java Programming Interviews Exposed (English Edition)

洋書だとこの手の本もそれなりに出てるけど,日本企業の面接じゃねえ.

わざとだよ?「新卒採用受験料に、就活生として意見したい」

http://sachiko.hateblo.jp/entry/12071000
追記.

『学生を不幸にする就活の仕組み』に乗っかっているのはダメだということで、受験料を取る試みを始めました。

この帰結、あまりに安易すぎませんか。

そもそも就活生がなぜ大量エントリーするのか、その原動力はおそらく恐怖心だ。

新卒、という立場は就活市場でおそらく最も大事なブランドだ。新卒ブランドを持ってるうちに一社も内定を取れなければ、今後キャリアを築く上で不利な立場になる、しかも採用基準は不明確、となれば数打って当てなければ、という学生が出てくるのは自然な話である。

新卒採用にこだわっているのも、採用基準を明示しないのも企業側の問題である。これらの問題を、学生への金銭的ペナルティで解決しよう、という取り組みには賛同できない。

新卒採用の仕組みをすぐに変えることはできない、というのならせめてエントリーシートを郵送のみで受け付ける、とか、エンジニア志望なら作品を提出させるとか、金銭とは別のペナルティを課すことで志望度をはかってほしい、と思う。

これも同意.


「他の企業がやらないけど,ドワンゴだからできた」というのとは違うんだな.
他の企業は恥ずかしくてやらないようなことを,ドワンゴだけは恥を恥とも思わずにやっちゃっただけ.

痛いニュース神田うの、就活学生に苦言「100社も受けるなんて失礼。結婚なんて1人としかできないんだから。1社を選んで」」

http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1790504.html

就活は結婚じゃなくて「お見合い」みたいなもんでしょ.


しかもお互いに自己紹介するのが前提の見合いと違って,就活だと片方は自分の過去を全部さらけ出してるのに,もう一方の企業側が完全秘密主義.そりゃ上手くいく比率も下がろうというもの.

「【ドワンゴ】賛否両論の新卒受験料制度について聞いてきた」

http://hatch-japan.com/all/career/2324

田辺さん:
うちのケースをお話しましょう笑
昨年度、3000名くらいの学生がエントリーシートを提出してくれました。実はそれをウチでは2人で見ています。

十時:
2人で3000枚!?それはエグぃ・・・

これは「ドワンゴは新卒採用にかける金をケチった」という話でしかない.

3000枚が30万枚であろうと,必要があればそれをチェックする人を雇えばいいだけの話.本気で良い人材を雇いたいと思えば,そのくらいの費用は必要経費のうち.ドワンゴは新卒採用担当者を雇う金を払うのがいやなので,学生にその負担を転嫁しました.」なにそれヒドい.

田辺さん:
最終的に入社できる会社は1社なのに、学生は志望度が低い会社にも手軽にエントリーしてしまいます。皆がエントリーするから倍率が上がり、受かりにくくなるからさらにエントリーするという悪循環です。自分たち自身で就活を大変なものにしてしまっているんです。

十時:
確かに。学生全員が2,3社しかエントリーしなければ、だいぶ楽になりますね笑

これだとまるで倍率が高いことが採用されにくい「原因」であるかのようにとらえているが,きっかけは就職氷河期の方だろうが.それに「倍率が高い ≠ 採用されにくい」だということも分かってないのか?

就職氷河期なので受かりにくくなる.受かりにくくなるから応募する企業を増やす.これは当然の流れ.100社に応募しても内定を1社貰えるかどうか分からないような現状では,「学生が2〜3社にしか応募しない」のは机上の空論.

他がやらないならウチがやる

やって良いことと悪いことがあるんだよ.

たとえば残業手当未払いにして,サービス残業を強要すれば「利益」は出るだろう.「他がやってない」ことで「成果が出てる」としても,それでは犯罪だ.

*1:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20090802/p2 http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090801/chikirin_on_household_income

*2:ちきりんも昔ははてブを閉鎖してない時期もあったんだけど,毎回のようにブコメが反論の嵐で炎上するから,閉鎖したんだよね.社会派ブロガーが聞いて呆れる.

*3:それでも大企業になれば,(業績が一定である限り)だいたい例年何人くらい採るという基準があって,来る学生の質もそんなにバラツキが無いから極端に変動することはないだろう.一方で中小企業になると,人数は大幅に変動するのは珍しくない.

*4:だから「給料泥棒」という単語は企業の構成員に対しては使えても,学生にはあてはまらない.