「英語が「使える」ようになる方法」?

http://shibataism.hatenablog.com/entry/2014/06/03/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%8C%E3%80%8C%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95
んーっと,30点.「もっと頑張りましょう」レベルだと思う.

賛成できる点も無くは無いが,全般的にあまりに杜撰.勉強嫌いだった著者が「今までずっと英語の勉強をさぼってましたけど,おれは悪くない」という言い訳をしてる感じ.

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うん?いきなり,これおかしいよね.書いてて自分で変だと思わないのかな.*1


「営業マーケティングが出来る」なんて,営業以外には関係無いスキルじゃん.日本語ネイティブが日本語で話す場合でも営業ができない人は沢山いるし,マーケティングができる人なんて,日本人だと数えるほどしかいない.

語学力とそれ以外のスキルは分けて考えるべき.

「英語だけで生きていける」の方がむしろレベルが低いかも.

最初に申し上げますが、よく英語のマンツーマンレッスンなどに通う人がいますが、お金の無駄だと思います。

ここまでは同意.

それをするのはTOEIC 900点くらい楽勝で取れるようになってからでも遅くはないと思う.

それをするくらいなら、半年休みをとって、英語圏に住んだほうが早いですし、安いです。半年が難しければ、3ヶ月でもやらないよりはマシです。

この方法はコストパフォーマンスが悪いからな...


もう一つ問題なのは,勉強をサボってる人が自分の英語が出来ない言い訳にしちゃってること.仮に「現地で暮らすようになれば誰でもできるようになります(きり)」が事実だとしても,「日本で勉強して話せるようにはなりません」「日本で勉強するのが無駄」という根拠にはならない.それに基礎ができてない人間がそういう環境に放り込まれても,いきなりできるようにはならないし.

実際にもTOEICで800〜900点くらいまでは現地に住む必要はほとんどないのに,日本にいる日本人で英語が「出来ない」人の大半はそれより遙かに低レベルだよね?まずは国内でもできること/すべきことは山ほどあると思うよ.*2

英語圏で育っていれば、子供でも3歳になれば英語が喋れるようになります。これは何故かというのを考えると、「英語を話す環境にいるから」というだけなんですよね。

3歳児の脳と大人の脳を一緒にしちゃいかんよ.

大人は既に母国語で膨大な概念や知識を持っているので,それを活用した方が効率が良い.*3

同じ言語でもプログラミング言語の例で考えてみてください。初心者が毎日、プログラミングをすると決めても、一向に上達しないというケースは多いかと思います。それは何故かというと良い「見本」が無いからです。

その理屈なら専門書よめ,良いソースコード読めってことになる.


まあ語学的にはそれは間違いじゃない.今では語学書,CD,DVD,インターネット上のドキュメント等々で膨大お手本が存在する.そのお手本を元に勉強するのが効率的.

IBMの現場から生まれたシンプル英会話―日常会話からビジネスまで

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の前書きにもTOECI900点取ってる人でも,いざという時に何を話せば良いか悩むみたいなことは書かれてた.それがこの本が出版されるきっかけにもなっている.*4 *5そういう人達はこういう「見本」で勉強すればいいという話.

とはいえ,しょせんこういうテクニックは「付け焼き刃」でしかない.この本を参考にした程度で電話会議がスラスラできるようになるとしたら,その人達がTOEIC900点くらいの基礎英語力を既に持っているからでしょう.TOEICで400〜500点をウロウロしている程度の英語力だと,話すことは丸暗記できても相手の話してる内容が聞き取れないから会話が成立しなかったりする.

エンジニアの人は、英語=新しいプログラミング言語、と置き換えて見てください。

自然言語人工言語は違うよ.不適切な比喩のひとつ.

この二つの区別も付かないってことは,この人にプログラミングのセンスはないようだ.

英語も言語なので、基本的には同じで、文法とか1500語程度の単語は必要です。

LDOCEやOALDなんかの外国人学習者向け英英辞典だと2千語程度で説明していたりするそうだ.

オックスフォード現代英英辞典 第8版 DVD-ROM付

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Longman Dictionary of Contemporary English DVD-ROM (disk only)

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しかし2000語だけで簡潔且つ正確に説明するのはかえって難易度が高い.おそらくは6000〜1万語超+その分野の専門用語くらいは必要なはず.*6というか大学受験やってれば2千語なんて余裕で超えてるんじゃない?まして移住考えるなら1万語くらいはねえ.*7 1万5千語の間違いかとも思ったが,それだとセンターテスト云々の説明に合わなくなる.


余談だが,この手の英英辞典を使うメリットのひとつに,「その単語を知らなかった場合に,他の簡単な単語で言いかえるテクニックが身につく」というのがあると思う.外国人学習者向け英英辞典は「難しい単語を簡単な単語で言いかえて説明するお手本」の宝庫だからだ.

TOEICTOEFLが何点、というのは、そういったことが何か(昇進・入社等)の条件になっていないのであれば、無視した方が良いと思います。

これはそうは思わない.

TOEICで700点かそこらも取れないとすると,それは基礎学力が足りてないということを意味するから.まずは基礎をミッチリやって点数を伸ばすのが必要になる.

英語がちゃんと使える人は、TOEICTOEFLの点数も出ますが、TOEICTOEFLの点数が高くても英語が使えない人をたくさん知っています。つまり、試験で高得点を取るのが目的でないのであれば、より実用性が高いこと(本当に英語が使えるようになること)をゴールにするのが正しいと思います。

TOEICで高得点をとっても英語を話せるとは限らない」.そんなのは常識.それはTOEIC批判にはなってない.

しかし「TOEICで高得点が取れない人は,まず英語を話せない」.これが重要.


TOEIC等のテストの点を取るのは目的ではないが,自分の実力を知る上でもTOEICくらいはやっておいた方が良い.TOEICで700〜800点くらい取れない人が,いきなり外国に行って英語だけで生活しようというのは無謀だから.己を知るための道具として活用せよ.

1)英語圏に住めるようになる(日常生活ができる)

ここで紹介されてる例は「英語スキル」の問題じゃないと思う.

2) 英語で仕事が出来る(主に社内向けに英語を使える)

英語圏で職を得る」が一番難しいと思うよ.

それに比べれば生活の方はなんとかなる感じ.

これが実は一番難しい。例を挙げましょう。日本語がネイティブで無い人に「これ、超やばいくないですか?」と言うと、恐らく多くの人は、

  • This is good
  • This is NOT good

のどちらを意図しているのか困ると思います。

これの識別は難しいが,対応は簡単.

  1. そういう曖昧な言い回しは使わない.
  2. 分からない時は聞き直す.

そんだけ.これは日本語でも一緒でしょ.

これらの役割が本人の適正にあっている、という前提ですが、一番の早道は、英語圏修士MBA含む)・博士に行く、だと思います。

大学/大学院で留学するには,その前にTOEFLとかGMATとかで一定の点を取らねばならないのでは?

まずその段階でかなり敷居が高いんだが.しかも入学後も毎日膨大な英語を読み書きして,聞いて話せなければ授業について行けないわけで,「行くことで英語が出来るようになる」と言うよりは,「英語が出来ない人は卒業できないし,そもそも入学すらできない」と言うべきじゃないかと.*8

もう一つの例は病院。例えば「盲腸」や「結膜炎」を英語で何と言うのか、というのは辞書を引かないと言えません(でした)。健康な人が普段生きていく上では「盲腸」や「結膜炎」が言えなくても何も困らないのですが、いざというときに割と困ります。

ブコメでもあるけど,電子辞書を買って持っておけばおけ.そんだけの話で何も問題は無い.

持病なら前もって調べて,その手のカードにでも書き込んでおいた方がいいかもね.

英語圏で、パーティに行ったり、子育てをしたりすると痛感します。

パーティーの会話はある意味で凄く難易度が高い.ひとつには話題の幅が広いから.

たぶん,隠し芸のひとつも身につけるとか,伝統的な日本文化について英語で説明できるようになっておくとか,前もって持ちネタのひとつやふたつを用意しておくしかないと思う.話術では勝ち目はないので,話の内容の方でカバーするわけ.*9


あとで気が向いたら追記するかも.

http://b.hatena.ne.jp/entry/shibataism.hatenablog.com/entry/2014/06/03/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%8C%E3%80%8C%E4%BD%BF%E3%81%88%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95

  • id:IzumiMihashi このブログが求めるより英語のレベルがはるかに低い人が英語で案件クローズしたり、英語圏に住んだりしてるのは気のせいだろうか。/病気の名前がわからないのが気になるなら電子辞書買え、捗るよ。

このブログで求めてる「英語スキル」は高いようで意外と低いと思う.一見高いように見えるのは,英語以外の文化的技術的スキルも一緒くたにしているから.

たとえば日本語が流暢な外国人が日本に来て,住居の契約をする時に「連帯保証人」を要求されたら対応に困ると思うよ.それは日本語力の問題ではなく,連帯保証人という日本固有の奇異な慣習のせいだから.

  • id:calcs 「言語」スキルとしては優れたコピーを作る能力のほうが、論文書く能力より要求水準高いと思う。

同意.

この記事を書いた人は「自分で論文書けるから英語力ある」と思ってるのかもしれないけど,実は英語力としては(低くはないけど)そんなに高くない気がする.だって例えば単語が1500語でいいと思ってるくらいだから,1万語レベルの単語も覚えてないわけでしょ.英語力ある人ならだいたい1万語辺りをひとつの目安にする.

  • id:legoboku エンジニア系の人はここまでハイレベルじゃなくても大丈夫そうです。
  • id:uzusayuu 自分の場合、米国に住んで二ヶ月目に交通事故に巻き込まれて(追突されて玉突き)保険会社や病院と散々やりとりをする羽目になったとき、グンと英語レベルが上がった。上手下手よりもサバイバルスキルとして。
  • id:citro 最短はほんと「住む」だよなあと思う

これはキッパリと「違う」と思う.

むしろ10年住んでても喋るようにはなれなかったという方が多いようだ.要は勉強するか否かで,住んでる地域はあまり関係無い.

むしろツッコミどころは多すぎる感じ.あまりに多すぎてブコメじゃ書き切れないんでしょう.

*1:なんか全般的に変なんだよね.英語スキルが高いんだか低いんだか.的外れなことも多々ある感じ.
英語が得意なので英語の勉強をしたことがないのか,それとも英語が全然ダメなのかどっちだろ.

*2: http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20140508/p1

*3:たとえばWaterくらいなら三歳児にも分かるけど,一酸化二水素のジョークは三歳児には理解不能.抽象概念や量子力学なんかはどうやって説明するつもりだろ.

*4:元ネタはこっち.「テレコン英会話小冊子」 http://www-06.ibm.com/businesscenter/jp/hitoiki/pdf/telecon_eng.pdf

*5:若干タイトルとかが変わってるけど,「中身検索」で見た限りではたぶん中身は一緒だと思う.

通じる英語ほど簡単! シンプル英会話―日常会話からビジネスまで

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*6:専門書を読もうと思うとそのくらい欲しいが,たぶん自分はまだ届いてない.結局単語力の不足を感じる毎日です.必要なのが1500語?冗談じゃない.

*7:こういう勘違いが多いので,この人が本当に英語をマジメに勉強してきたようには見えないのだ.

*8:TOEFLを取れたということは,入学後は英語は苦労しなかったですよね?」「いや,死ぬほど苦労したよ.」みたいな状態らしい.TOEFLを取るのでさえ簡単ではなく,それをとっても授業に付いていくのは死ぬほどしんどいらしい.

*9:女性だと着物を着て参加するというのもありかも.