「無実の人を誤認逮捕させることで捜査機関を出し抜こうと考えた」ことは「犯罪史上に類を見ない異常な犯罪」か?
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015200811000.html
http://www.asahi.com/articles/ASH227RGYH22UTIL057.html
http://jp.wsj.com/articles/JJ10921545038004054642618240585552324430339
http://mainichi.jp/select/news/20150204k0000e040144000c.html
4人の男性が誤って逮捕されたパソコンの遠隔操作事件の裁判で威力業務妨害などの罪に問われた被告に対し、東京地方裁判所は「無関係な第三者の人生に与える影響を顧みない自己中心的な犯行に全く酌むべき点がない」として懲役8年の判決を言い渡しました。
3年前、ウイルスに感染したパソコンが遠隔操作され、無差別殺人の犯行予告などが書き込まれた事件では無関係の男性4人が誤って逮捕されました。
一連の事件でインターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(32)が威力業務妨害などの罪に問われました。
4日の判決で東京地方裁判所の大野勝則裁判長は「被告は国家権力に対する個人的な恨みから、無実の人を誤認逮捕させることで捜査機関を出し抜こうと考えた。無関係な第三者の人生に与える影響を顧みない自己中心的な犯行に全く酌むべき点がない。保釈中にも真犯人を名乗る自作自演のメールを送るなどサイバー犯罪の中でも悪質だ」と指摘して片山被告に懲役8年を言い渡しました。
片山被告は主文を聞いても無表情のままで、およそ40分にわたる判決文の朗読をじっと動かずに聞いていました。
いろいろとツッコミたい所は多いが,
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そもそも利己的でなければ,犯罪なんて犯さないのではないか?利己的でない犯罪って,一体どんな犯罪だよ.
この事件が異例だったのは,中学生にも分かるほど警察が極めて無能だったことくらいだ.*1 *2
保釈中にも真犯人を名乗る自作自演のメールを送るなどサイバー犯罪の中でも悪質だ
いやそこは犯人が極めてマヌケ(或いは純朴)な部分で,アレさえしなければ証拠不十分で無罪だったでしょうに.凶悪な犯人なら,むしろ何もせずに無罪を勝ち取っていただろう.
片山被告の弁護を担当した佐藤博史弁護士は会見で、「警察が誤認逮捕をしたことの責任も刑の重さに反映されているなど弁護側の主張が受け入れられなかったと言わざるをえない。判決のあとに接見した片山被告は『反省が十分ではないと判断され、判決に影響したのだろうか』と話していた。控訴するかどうかは2週間考えて決めたい」と述べました。
http://digital.asahi.com/articles/ASH227RGYH22UTIL057.html
■「素人に振り回された」
「あれは素人の犯罪だった。なのに、捜査機関は振り回されてしまった」。捜査幹部は振り返る。
片山被告は罪を認めた後、取り調べに「遠隔操作ウイルスは『コピペ』でつくった」と答えたという。警察の目を欺き、誤認逮捕を引き起こしたウイルスは、インターネット上で見つけたプログラムなどを切り貼りして作成したものに過ぎなかった。
捜査幹部によると、「真犯人からのメール」を送信したスマートフォンには詳細な「計画」が保存されていた。タイマーでメール送信する手順や、参考にしたサイトが記されていた。「ネット検索を駆使すれば、誰でも犯行ができてしまう。ネット社会の怖さを感じた」と幹部は言う。
片山被告は「(犯行の)痕跡はすべて消したつもりだった」とも語ったという。だが、復元された痕跡が被告の特定につながった。被告の知識は決してプロ並みではなかったが、同時に、それを見破れなかった捜査の実態も浮き彫りにした。
ケーサツや裁判所は「巧妙」とか「狡猾」とか「悪質」とか「例を見ない」という単語を連発して印象操作をしてるようだけど,実態はこんなもんだ.*3
当初あまりにも不自然な犯罪に見えたのも,単に片山被告がバカだっただけ.想定外だったのは,警察がそれを上回るくらいに,ひたすら無知で愚かだったこと.貴様らIPアドレスの基本的な性質さえ知らんのかと.しかもにもかかわらず,証拠集めもせず,専門家の意見も聞かず,裏付け捜査もせずに暴走したことが,無実の人間の誤認逮捕に繋がったのではないか.
「誤認逮捕を招いたのは、デジタル証拠を信じすぎたから。今思えば、誤認逮捕した人の動機など、捜査側の見立てには不自然な点があった」と別の幹部は反省する。当時は遠隔操作などは思いもよらず、デジタル上の証拠だけを信じ、警察は別人を逮捕した。「デジタル証拠だけでなく、必ず他の証拠との整合性を確かめる必要がある。あの事件で、サイバー捜査の考え方は大きく変わった」(高野遼)
裏付け捜査が必用なのは,なにもサイバー犯罪だけに限らないんだが...
http://jp.wsj.com/articles/JJ10921545038004054642618240585552324430339
弁護側は最終弁論で、「正しい捜査を行えば誤認逮捕は防げた。過度に強調し過ぎだ」と述べ、求刑は重すぎると訴えていた。
http://mainichi.jp/select/news/20150204k0000e040144000c.html
遠隔操作ウイルスを仕掛けた手法を「周到な準備をした上で痕跡を隠した巧妙な手口。サイバー犯罪の中でも悪質」と批判した。
さほど巧妙でもないし,サイバー犯罪の中では普通なレベル.
誤認逮捕で1カ月近く勾留された被害者がいることも踏まえ「動機、経緯に全く酌むべき点はない」と断じた。
裏付け捜査も証拠も無しに誤認逮捕したのも,一ヶ月近く拘留したのも,いずれも警察の落ち度だよね.
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150204/k10015200811000.html
PC遠隔操作事件で懲役8年
2月4日 12時55分4人の男性が誤って逮捕されたパソコンの遠隔操作事件の裁判で威力業務妨害などの罪に問われた被告に対し、東京地方裁判所は「無関係な第三者の人生に与える影響を顧みない自己中心的な犯行に全く酌むべき点がない」として懲役8年の判決を言い渡しました。
3年前、ウイルスに感染したパソコンが遠隔操作され、無差別殺人の犯行予告などが書き込まれた事件では無関係の男性4人が誤って逮捕されました。
一連の事件でインターネット関連会社の元社員、片山祐輔被告(32)が威力業務妨害などの罪に問われました。
4日の判決で東京地方裁判所の大野勝則裁判長は「被告は国家権力に対する個人的な恨みから、無実の人を誤認逮捕させることで捜査機関を出し抜こうと考えた。無関係な第三者の人生に与える影響を顧みない自己中心的な犯行に全く酌むべき点がない。保釈中にも真犯人を名乗る自作自演のメールを送るなどサイバー犯罪の中でも悪質だ」と指摘して片山被告に懲役8年を言い渡しました。
片山被告は主文を聞いても無表情のままで、およそ40分にわたる判決文の朗読をじっと動かずに聞いていました。
片山被告「反省不十分と判断されたか」片山被告の弁護を担当した佐藤博史弁護士は会見で、「警察が誤認逮捕をしたことの責任も刑の重さに反映されているなど弁護側の主張が受け入れられなかったと言わざるをえない。判決のあとに接見した片山被告は『反省が十分ではないと判断され、判決に影響したのだろうか』と話していた。控訴するかどうかは2週間考えて決めたい」と述べました。
片山被告犯行告白までのいきさつ3年前、インターネットの掲示板にイベントでの無差別殺人や小学校の襲撃などの犯行予告が相次いで書き込まれました。
さらに「爆弾を機内に持ち込んだ」というメールが航空会社に送られ、日本からニューヨークに向かっていた旅客機が急きょ引き返す事態になりました。
警察は書き込みやメール送信に使われたパソコンを特定し、その持ち主だった4人の男性を次々に逮捕しました。
ところが逮捕された4人は全く無関係でした。
パソコンがウイルスに感染するなどして遠隔操作されていたのです。
従来の捜査の想定を超える新たなサイバー犯罪に直面した警察は誤認逮捕を認め、謝罪するほかありませんでした。
こうしたなか、突然、報道機関などにメールが届きます。
差出人は一連の事件の真犯人を名乗り、「警察・検察のかたへ、あそんでくれてありがとう」などと捜査機関を挑発し、事件は一気に劇場型犯罪の様相を呈しました。
メールには発信元の特定を難しくする特殊なソフトが使われていて、捜査は難航します。
しかし、警察はおととし1月に送りつけられた4通目のメールをきっかけに犯人特定の糸口をつかみました。
メールに書かれたクイズを解いていくと神奈川県の江の島にいる猫の写真が現れ、実際にいた猫の首輪には遠隔操作ウイルスのプログラムが入った記憶媒体が取りつけられていました。
そして、その近くに設置されていた防犯カメラの映像に、猫に近づく片山祐輔被告に似た男の姿が映っていました。
捜査はサイバー空間から現実の世界に舞台が移ったことで大きく進展し、翌月、被告は逮捕されました。
片山被告は一貫して容疑を否認していました。
去年2月に始まった裁判で「私も真犯人に遠隔操作された被害者だ」と無罪を主張しました。
裁判は犯行を裏付ける直接的な証拠がないなか、検察側と弁護側が全面的に対立する構図のまま進められ、被告の保釈も認められました。
そして去年5月、被告が法廷にいる時間帯に報道機関などに再び真犯人を名乗るメールが届きました。
「片山氏のパソコンにウイルスを感染させた」ことを知らせる内容でした。
被告は会見を開き、「これをもって裁判を終わらせてほしい」と述べて疑いが晴れたと強調しました。
しかし、このメールは被告が携帯電話の予約機能を使って自分で送ったものでした。
この前日、捜査員が東京の荒川の河川敷で携帯電話を埋める被告の姿を確認していたのです。
掘り出された携帯電話にはメールと同じ文面が残されていました。
えん罪を決定づけようとした被告は逆に言い逃れができない状況に追い込まれ、一時、行方が分からなくなりました。
そして「死のうと思ったが死にきれなかった」と言って弁護士の元に出向き、一連の事件はすべて自分の犯行だと告白しました。
被告は再び身柄を拘束され、その後の裁判でも一転して起訴された内容を全面的に認めました。
PC遠隔操作に企業も危機感所有者が気付かないうちに、パソコンが悪意を持って遠隔操作されることが現実化した今回の事件では、標的にされた個人にとどまらず、顧客情報や個人情報など機密の管理をコンピューターシステムに委ねる企業や官公庁も危機感を強めています。
大手電機メーカーのグループ会社が2日開いたセキュリティ技術の研修には防衛策を学ぼうとIT関連の企業や省庁のシステム担当者など9人が参加しました。
研修ではウイルスに感染したパソコンが別のパソコンのキーボードの操作で勝手に文字が書き込まれることやIDやパスワードを盗み取られるおそれがあることを体験しました。
そして遠隔操作を防ぐ対策として、ソフトウエアを最新の状態に保ち、ウイルス対策ソフトを導入することや、不審なプログラムを安易にダウンロードしないことなどが説明されました。
研修に参加した教育機関のシステム管理者の女性は「攻撃される側は気付かないうちにいろんな情報を盗まれるので、すごく怖いと思った。組織では個人情報も扱っているので漏えいしないように、最善の策を取らなければいけない」と話していました。
講師を務めたNECマネジメントパートナーの樂満俊幸さんは「事件をきっかけに、パソコンのセキュリティを意識している人が非常に増えてきたと感じる。企業の信用に関わるうえ損害にもつながる問題なので、どこの企業も対策を重要視している」と話していました。
*1:「IPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと思っていた。想定外の事態ですよ。」 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1735003.html
*2:あの本で上げられている交通事故調査と大差ないくらいに!
*3:「片山被告は,サイバー犯罪においては一番の小物」.