信号機の「意味把握」は,信号機の「検出」より難易度が高い

そして信号機の検出は,一時停止標識の検出より難易度が高い.

そりゃこれについては国交省の方が正しいよ.

国沢光宏 自動車評論家

あくまで自動車評論家であって,プログラマーでも人工知能研究者でもないと.

交通事故の大きな原因となっているのが信号無視や一時停止無視。最近は高齢ドライバーによる信号の認知ミスも問題になっており、対策は待ったなしの状況と言える。一方、自動運転技術の進化により、今や信号や一時停止標識の判別など容易になった。スバルの『アイサイト3』は先行車のブレーキランプを判断して早めの制御を入れており、ホンダの『ホンダセンシング』も一時停止を見て表示させている。

ふむふむ.

上の写真はホンダセンシング付きステップワゴンの表示。クルマに付いているカメラで一時停止標識を認識し、ドライバーへ注意喚起してもらおうというもの。ここまで出来るのなら一時停止標識手前で減速しなかった場合、自動的にアクセルを戻したり弱いブレーキを掛けたり出来ないのだろうか? 関係者に話を聞くと「出来ます」。注意喚起の方法だって、表示だけでなくハッキリ解る音を使えばいい。

よくみると,ここは「一時停止標識」の話なんだな.

実際、赤信号を明確に判断できる性能持つメーカーが国交省に「赤信号で停止する機能を付けたい」と相談したところ「絶対ダメ」と受けてくれなかったという。なぜ絶大なる事故防止効果を持つ赤信号や一時停止標識での制御を認めないのか? 理由は簡単。国交省が『ITS』(高度道路交通システム)という巨額の投資を必要とするインフラとセットになったシステムを立ち上げたいからに他ならない。

こっちは赤信号の話で,話がすり替わってる.「一時停止標識」と「(赤)信号」では難易度が桁違いでしょ?

「赤信号を判断できるメーカー」って,具体的にどこのメーカー?なんで名前出さないの?仮に赤信号は検出できたとしても,矢印信号も「文字」の信号も,全部完全に検出できるの?


赤青黄の色の組み合わせを画像認識してカメラ画像より信号機部分を抽出するのはできるかもしれない.画像が悪くて検出しきれずに見落とすこともあるかもしれないが,信号でないものを信号として誤検出することを無くせば,後はブレーキと連動すれば安全性は上がるじゃないか....一見そう見えるかもしれない.


問題は,信号らしき物を検出するだけでは不十分で,その信号がどの交差点のどの方向に進む車に対応しているかの意味判定が,遙かに難易度が高いことだと思う.世の中には十字路だけでなく,五叉路,六叉路もあれば,T字路やY字路もある.複数の十字路やY字路が立て続けに連なってることや,歩行者用バス用,注意喚起の点滅信号などの専用信号が追加されることもある.

さらに「一時停止」ならば検出すれば常に一時停止でいいんだけど,「赤信号」なら止まればいいかというと矢印式信号があると,進行方向によっては赤信号だけど進んで良い場合もある.つまり「赤信号」だけでは停止すべきか進むべきか判定できない.

これを正しく判定するには全矢印の向きを上下左右斜めUターンの全てについて認識するだけでなく,「現在いるのが右折用レーンである」のような進行方向に関する情報も検出する必要が出てくる.三角測量や両眼視差による単純な「障害物判定機構」であるEyeSightには荷が重かろう.

また多用な矢印式信号一つとってみても,その全組み合わせをテストするのは大変だ.*1



少なくとも三つの信号が見えているけれど,この車の進む方向に対応している信号はどれ?しかも脇道から合流する場合には,それ用の信号がなかったりするし.画像認識で三つの信号を検出できたとしても,そのどれに従えばいいか,或いはどれにも従わなくていいかまでは,画像認識では教えてくれない.道路のトポロジーと照らし合わせての意味解析が必要になる.


しかも多種多様な矢印式信号まであるし.矢印式信号を検出できないと,進める場合でも誤って停止してしまうという危険が発生するな.


赤信号が見えたので交差点の手前で止まったら,その信号は一つ向こうの交差点のものだった.これも機械的に画像認識だけで検出するのは難しいだろう.これは直進する道路で数個向こうの交差点の信号まで見える場合でも,同様な誤認識問題は発生すると思う.

この時はブレーキを踏んだのが人間だったので減速時に周囲を警戒しているけれど,人間は正しく認識してるのに機械が自動停止した場合は人間は無警戒なままなので,追突の危険があっても咄嗟には反応できない恐れがある.


先日日本海までインプレッサで行ってきたのですが、途中思わず赤信号?かどうなのか判断できずに停車してしまった様子。後ろからはものすごいいきよいで迫ってくる大型トラックがあったのでとりあえず左に退避しましたら、なんと直進用の信号がカーブの先にありました。(汗

投稿者のコメントが全てを物語る.自動ブレーキで停止した場合は大型トラックの下敷きになったかもしれない.

  

「世界一紛らわしい信号」は例外としても,「バス専用」のような文字列も認識して意味を把握する必要があるのか.



実は進んでもいい場合に赤信号と誤認識し,間違って急ブレーキをかけた場合は後ろやまた後ろの車から追突される危険性は少なくない.上記の「日本海までインプレッサで行ってきた」の例なんかはまさにその危険を感じたために,咄嗟に左に退避することで事故を回避している.このような危険回避の必要もあるので,信号での停止の際は人間の判断なしで安全性を保証するのは難しいだろう.



上のような紛らわしい信号については人間でもしばしば間違いを犯すことがある.

今のカーナビにそこまで高度な状況分析は期待できないから,最初から全国の全信号情報をインプットした自動運転用道路信号データを整備しないと,赤信号での自動停止機能の実現は難しいのではないだろうか.

http://b.hatena.ne.jp/entry/bylines.news.yahoo.co.jp/kunisawamitsuhiro/20160106-00053152/

  • id:sunayuki ほぼ間違いなく誤検知あるだろうし、簡単に「いいよー^^」で終わる案件じゃない気がするんだが。そういう事故があった時に「なんで許可したんだ」と怒られる立場にいたら、僕なら絶対許可しない。
  • id:A-WING ITSが理由て根拠は?もし自動停止機能の誤動作や何らかの要素で事故が起きると責任の争点に製造者責任があがるし、ITSなら国の責任も争点になるだろう。実験はしているがそこで止まっていると考えるのが論理的
  • id:MisojKun でも、ご検出で事故が起こったら認めた、国交省を叩くんでしょ?
  • id:Lat ホンダ車は、道路沿いの店舗に入るため左折としている車を車線変更して追い抜く際に自動ブレーキがかかってしまい車線変更のタイミングを失いかえって危ないのです。機能をOFFにしたいけど出来ないし。
  • id:michiki_jp “赤信号を明確に判断できる性能持つメーカー” ほんまかいな。吹雪でも使えるのか?
  • id:sin4xe1 はるかに自動にしやすい鉄道ですら新幹線くらいの環境にしないとやってないなのに。ちょっと煽られすぎって感じ。
  • id:dfg5ivestar 「利権」「天下り」あたりのキーワードが出てくると、とにかく官僚叩きがしたいという意図がありそうな気がして信用しないようにしてる。とりあえず判断保留。
  • id:chintaro3 きっちり規格化されてる信号機は画像処理向き。矢印表示の例外対応も目視と同等レベルの信頼性でよいなら可能

そもそも信号の規格なんてないに等しいし,「晴天時に1個の横型信号のみを正面から30mの距離で読み取り」とかの読み取り条件が決まってるわけじゃないんだよね.さらには「バス専用」みたいな注釈コメント付き信号なんてのもあるんやでと.

また仮に読み取れても,画像処理は本質的な問題じゃない.「ウォーリーを探せ」状態の複数の信号機っぽい画像中から信号機(複数)のみを抽出し,その結果と道路のトポロジーとを照らし合わせて各信号機の意味を解釈するのが難しいわけで.

  • id:sukemasa_fujiwara 筆者が自動車の逆神国沢って時点でお察し。何せ「NOxは臭いがしないから安全!だからVWの不正は大したことない!」とか言っちゃうトンチンカンだぜ?

よく理解した.

自動運転における「一時停止」と「赤信号」の扱いを一緒くたにしちゃう人だもんなあ...

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その通りだと思う.

所詮は周囲の状況を把握せずに,前の車の尻だけを見て追いかけてるだけだからね.

「自動運転」させるには,最低でも360度全方位の状況を把握して,それに対応する必要はある.まだまだ改善すべき点が山積み.

故障した時,停電で信号が動いてない時,積もった雪がレンズを覆ってるとき,大雨や濃霧の時,自動運転には越えなければならない壁は多いよ.


グーグルでさえテストをやってるのはカリフォルニア州のサンフランシスコではなくネバダ州だってことを忘れないように.*2 *3 日本でやるなら北海道の原野の一本道で,且つ積雪や雨風のない季節限定かな?


google:image:nevada road], [google:image:nevada town], [google:image:nevada railroad crossingとかで画像検索すると...


駄目だこの人...情報化のセンスが欠片もない.

「フォード、自動運転車を積雪路でテスト」

http://carview.yahoo.co.jp/news/market/20160112-10237289-carview/
http://gigazine.net/news/20160112-ford-test-autonomous-car-snow-drive/
追記.

フォードによれば、人間が積雪路で運転パターンを変えるのと同じように、自動運転車の場合も状況に応じて運転スタイルを変化させる必要がある。たとえば積雪路ではタイヤのグリップレベルが極端に低下するため、スロットル操作を慎重に行う必要がある。これは自動運転車の場合も同じで、システムは状況を的確に判断し、状況に合った運転操作を行う必要がある。

また積雪環境下では、道路上の標札や白線が雪に覆われ、クルマ側が読み取れる情報量が減ってしまう恐れがある。そうしたことも踏まえ、フォードは自動運転システムの開発を実際の交通環境下で実施する。

テストは主に、ミシガン大学の自動運転技術や通信技術の開発用のため設計された広大な施設「Mcity」を使用する。テストは「フュージョンハイブリッド」に、カメラやレーダー、LiDARセンサー、3Dマッピング技術などを搭載した車両を使い、センサーで捉えた映像と、運転スタイル、および車両挙動の相関関係などを検証していく。

技術的には興味深いが,まだこういう平地で見通しの良い自動車教習所みたいな環境で実験段階なのが現状.除雪した雪が1m以上積み上げられてどこが道路の端だか分からないような状況で,路面が凍結した山道を走れるようになるのは,まだ先の話だと思う.

*1:普通は設置位置が横型信号の「下」のものが多いのだが,「上」の場合もあるし「左右」の場合もあるそうだ.縦型信号の左右に設置されてるものもある.他にも把握されてないタイプもあるかもしれない.

*2:ネバダ州って核実験場があったくらいで,ほとんど砂漠だよな?他に何にもない砂漠だから,カジノを合法化するくらいしかできることがなかった荒れ地.

*3:信号だけでなく線路と踏切の検出も難しいかもと思ったけど,そもそもネバダ州って,電車とか踏切とかあるんだろうか??ぐぐるとこんなのが見つかるが…… http://www.panoramio.com/photo/2349966 , https://commons.wikimedia.org/wiki/File:2014-10-08_16_45_41_Train_crossing_a_level_railroad_crossing_along_Nevada_State_Route_278_%28Eureka-Carlin_Road%29_near_Carlin,_Nevada.JPG
「日本なら踏切前では必ず一旦停止ですが、そんなことをアメリカでやった日には後ろから煽られます。下手をすると追突事故の原因になりかねません。「止まらないで徐行」が正しいのですが、ほとんどの踏切では電車が滅多に来ないこともあって、徐行している雰囲気さえ、あまり感じられません。」 http://www.tt.em-net.ne.jp/~taihaku/sightseeing/tips/rule.html