技術者の楽園?「経営者の楽園」の間違いでしょ.

「「技術者の楽園」を作ろうとして、現実逃避するIT企業が多い気がする」http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/08/it-7cee.html

  • 経営者が技術者というのは、別に構わない。むしろ、納品物が技術の結晶であるとか、システムそのものであるとか、製品知識が技術と直結している、一品もののビジネスであるなら、合理的なんだろうと思う。
  • ただ、技術の独自性や革新性を求めることを社風にするまではいいけれど、採算性の絶対に取れない自己満足気味のプロジェクトや、野放図な開発計画を社員技術者に認めるだけでなく、経営者として考えるべき合理性すら棚に上げて、自分のやりたいようにグダグダな運営をするのは、正直どうなんだろう。

ああ,なるほど.Googleのことですね,分かります.*1 *2 検索エンジンなんかで利益がでないのは常識だったでしょ.


日本のIT業界に,「技術者の楽園」なんて一つもないもんな.「十年はドロのように働け」「プログラマー30歳定年」と豪語する経営者ならいるけどね.

「採算性の絶対に取れない自己満足気味のプロジェクト」というが,研究開発とは程度の差はあれそういうものだ.絶対に儲かるもの,収益性だけを見て経営できるなら苦労はない.「絶対に利益が出る確実な技術開発」などほとんど矛盾なのだ.リスクが恐いなら経営者なんてやめちまえ.そんなことを言ってる限りは,ウォークマンからiPodを生み出すことなどできはしないだろう.*3

http://b.hatena.ne.jp/entry/kirik.tea-nifty.com/diary/2009/08/it-7cee.html

  • id:kawango 日本のIT業界は、「技術」があるといえるほどの企業もなければ、それで成功してみせた企業もないから、偽物でも技術企業の代表みたいな顔できてしまうのが残念。
  • id:marupin 技術者の楽園なんてあるのか?日本のIT企業で技術力で世界に通用する企業なんてあるのか?それを知りたい
  • id:orangehalf 趣味でやる分にはいいけどビジネスとしてやるならちゃんと利益ださないといかんというのは同意。ただ、利益追求ばかり重視しIT企業といいつつ実態は人材派遣な企業も多く、そいつらにはIT企業を名乗られたくはない
  • id:SiroKuro そもそも技術者がたくさんいる会社ってどこよ
  • id:m-matsuoka 何とか研究所という経営層にいる技術者の楽園(wを維持するための金を、下っ端の多重請負とかで稼がせている会社は、ちょっとうまくいったIT企業に多い気がする。
  • id:twitter 疲弊するケースは元の課題設定が間違っているケースが多い。はやくやめてくれればと思いつつ頑張らざるをえないエンジニアの姿しか思い浮かばない。

上でも書いたけど,GoogleとPARCに一票.

いわれてみれば"Apple Computer"も,パーソナルコンピュータなどという採算のとれないマニア向け商品を,手作りで作って販売してたベンチャー企業でしたっけね.

  • id:Terara_kirara 利益が出せるビジネスモデルを構築した会社だけ、技術者の楽園を作れるって話だな。卵と鶏が逆って話だな。先立つものはやっぱり運転資金。理想論はその後

それが経営者の第一の仕事だと思うんだけどねえ.儲け方まで技術者に教えてもらう経営者って,一体なんのために存在するのかと.*4

それがぼくには楽しかったから 全世界を巻き込んだリナックス革命の真実 (小プロ・ブックス)

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やりたいことをやれ

やりたいことをやれ

Linus氏が日本で生まれたら,今頃はきっと立派なニートかフリーターになってることだろう.

  • id:nekora "本人に「それは黒字にするにはどうすればいいの?」と周辺に聞かせても「黒字になんかなりませんよ」とか平然と回答したりするのを許すのはもはや経営じゃないと思うんだ"

そんなことを他人に尋ねるようでは,それは既に経営者じゃないと思うんだ.*5

  • id:naquamura 利益が減れば優秀な社員にも金が払えなくなる。->品質・コストを下げざるを得ない。そんな話?下げればいいよそんなの。みんなで下げれば怖くない。
  • id:matsunoji 技術者を社員と読み替えたほうが面白いよ。経営がうまく行かない会社は結局社員にとっての楽園じゃないって、当たり前すぎない?経営できない優秀な技術者がいるってのは理解できるけど。

そういえば,どこかでこんな話を見たことがあるな.

「中国でもアメリカでも優秀な技術者を引き留めようとすれば,相応の報酬を支払う必要がある.会社の業績が悪化したことを理由に給料を下げたらすぐ辞めてしまう.それに比べて日本では,(経営者が全員で談合して)給与を下げるから,いくら給料を下げても優秀な技術者が辞める心配がない.
日本は経営者の天国だ.*6



「利益が減れば優秀な社員にも金が払えなくなる」というのはウソじゃないけど,じゃあ日本の経営者に問いたい.

「利益が出れば,優秀な社員になら金を払うのか?」と.*7

*1:或いは伝説の「ゼロックスのPARC」とか.

未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明

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*2:ちなみに「経営者が技術者でない」のは日本企業の欠陥の一つだね.今や技術が分からない人に経営はできないから.

*3:ビッグブルーにとってのMS-DOS」とか「ゼロックスにとってのAlto」とか.収益のでないビジネスであるがゆえに,手を出さないのは合理的判断であった.

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)

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*4:http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20070712/p1

*5:経営患部.

*6:「若者の理系離れ」という形では現れてるけど.そりゃあ搾取されると分かっていて理系に進むのは愚か者か技術バカくらいしかいないからね.

*7:そう.それこそ相当な対価として600億円くらいね.経営者と日本政府の答はすでに聞かせてもらった.