「灘高はリスニングをこう教えている」
- http://toyokeizai.net/articles/-/14412
- http://toyokeizai.net/articles/-/14511
- http://toyokeizai.net/articles/-/14598
まだ(下)しか読んでないけど,内容は概ね賛成.
ただし唯一の解だとは思わないし,高校生〜大学生(初級)くらい限定の話.*1
上:灘高の英語授業はこうなっている
模試で英語で偏差値を80、85も取った子が、文化祭かなにかで学校に来たんです。そして、「先生のおかげで東大に行けたので感謝はしています。でも、大学に入って勉強し直しています」と言うんですよ。
「偏差値80以上あったのだから、やり直し不要でしょ?」と聞いたら、「いや全然使えませんよ」と言われました。
知らないにも2パターンあります。まずは「そもそも知らない」。たとえばpatientという単語には「患者」「がまん強い」という2つの意味がありますが、最初からこの単語を知らない場合ですね。もちろん聞き取れません。
もうひとつはpatientという単語は知っているんだけれども「パティエント」だと思い込んでいるパターン。
ところで,「ぱてぃえんと」な人はリスニングが出来ないだけでなく,スピーキングもできない.だから聴けても喋れない人はいるけれど,それでもリスニングとスピーキングにはある程度の相関があるというのは事実.
それから、単語に関してはクイックレスポンスを徹底させます。これは通訳養成学校でいちばん最初に言われたことでした。「何よりも単語が大事ですよ。それもクイックで言えるようにしよう。日本語から英語、英語から日本語のどちらの場合もです」とね。
(中略)
「はい、木村さん、いきますよ?。『野党』」
「(あ、ありましたね)……」「はい、だめです」
「じゃあ、次『与党』。……。はいだめ。では、『ブッシュ政権』。……。はいだめ!」その日はホント泣いて帰りました。
これは重要.これが出来ないと,英会話の最中に頭が真っ白になります.
普通の単語帳でも練習できるけど,日→英,英→日の両方で練習し易いので,自分は英単語ピーナッツのシリーズみたいな奴の方が好み.
- 作者: 清水かつぞー
- 出版社/メーカー: 南雲堂
- 発売日: 2002/06
- メディア: 単行本
- 購入: 14人 クリック: 47回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
どんどん話すための瞬間英作文トレーニング (CD BOOK)
- 作者: 森沢洋介
- 出版社/メーカー: ベレ出版
- 発売日: 2006/10/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 80人 クリック: 383回
- この商品を含むブログ (176件) を見る
http://b.hatena.ne.jp/entry/toyokeizai.net/articles/-/14412
- id:temtex ある意味でバカみたいな話で、普通の人でも瞬間英作文一生懸命やってる人は嘗ての灘高生に勝てるとかそんなアホな?って感じで俄には信じがたい。彼等はよく英語を話していた。つまり後に努力をしたということか?
んなことはないです.
あくまで「簡単な文章なら瞬間英作文さえやっておけばできる」ということはいえても,難しい文章の英作文や正格で詳細な読解や翻訳は瞬間英作文をいくらやってもできません.たとえば語彙力なども瞬間英作文では身につかない.語彙を増やすには地道な努力が必要.
- id:omaenoteki 「リーディングで高校レベルを突破している生徒に如何にリスニングを身につけさせたか」という話で、リーディングで高校レベルを突破している大学生が恐らく5%くらいしかいない本邦の教育改革には何の関係もない話
というわけで「んなことはない」.
たとえば初等レベルでもクイックレスポンスの有無は会話力に劇的な差を生みます.
- id:georgew バカバカしい。ネイティブの先生いないの???
初等英語教育においては,英語ネイティブか否かは関係無いよ.
英語ネイティブに夢見すぎ.英語の出来ない人ほど,こういう傾向がある.英語ができる人だと,実際にネイティブと会話して実体験してるからね.
- id:monsterdoctor 灘の場合はreadingで困るということはないだろう。listeningに全力を注ぐのは正しい。逆に生徒のレベルが低い場合は積極的に文法から教えなければならないだろう。
読む速度の問題はあると思うが.後半については概ね同意.
- id:wonodas クイックレスポンスは確かに効くマジで効く 自己流でやったけどいまだにリスニングは何とかなる。しゃべれんけども
- id:rti7743 もともと英語苦手なんだけど、外人と話すときに、単語がでてこなくて本当に困った。単語さえ言えれば文法なんてめちゃくちゃでも会話できるしなあ
そういう人こそクイックレスポンスですよ.
中:灘高は英単語をこう教えている
一般的には「ウォーター」という単語はないのです。a lot ofも「ア・ロット・オブ」ではない。ですから、スペルではなく音と意味が重要になってくるんですね。
「『アザ マダオヴファッ』は『あず,あ,またー,おぶ,ふぁくと』と発音してくれないと多くの日本人には分からない」という話をしたらネイティブに笑われました.*2 無理もない.
英語の先生方に声を大にして言いたいのが、「CDの付いていない単語集を使うのは、もうやめませんか?」ということです。CDがないと我流で発音するから間違った発音しか身に付かず、生徒のリスニング力がつかないのです。
多くの教材がCD付きになったのは,ここ20〜30年の英語教材の進歩の中でも特筆すべきものだと思う.上級者向けには必ずしも必要では無いが,初級〜中級だと効果は絶大.
(単語を覚えるのに)月曜日に1〜10、火曜日に11〜20、水曜日に21〜30と10個ずつというのは、まったく力のつかないやり方だということが判明したのです。
今、学校現場で残念なのは、iPod禁止という学校が非常に多いことです。これは非常にもったいない。ぼくは各学校で英語科が力を合わせ、iPod禁止を禁止すべきだと思うのです(笑)。禁止の理由は「音楽を聴くから」とかなんですよね。
音楽を聞いて,勉強に使わないような奴はどうせ受験でも仕事でも落ちこぼれるので,ほっとけばいいと思う.その点は名門校だと落ちこぼれを救う必要が無くてすむのは楽だな.
次はディクテーションですね。初期段階はディクテーションをやったほうがいいでしょう。なぜかというと、自分が聞き取れていないのがどこかが一目瞭然になるからです。何となく聞き取れた気になっている生徒っているんですよね。でも実際にディクテーションをやらせてみると穴だらけで、ほとんど理解できていない。そんな事実が判明することがよくあるのです。
google:ディクテーション
「えいご漬け」なんかはディクテーション練習用のソフトだけど,ディクテーション自体は特別な教材は必要ない.
- 出版社/メーカー: プラト
- 発売日: 2005/08/05
- メディア: Software Download
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
http://b.hatena.ne.jp/entry/toyokeizai.net/articles/-/14511
- id:monomoti 2.0どころか音で身体に定着させるのは常識だと思ってた。あと「正しい発音」の定義にもよるが、CD に頼らず発音記号から音を読む能力も、後の生活で役立つと思う。聞けない時もあるし。
同意.多読で勉強し始めると,ほとんどの場合は音声が付いてこないので,だいたいでもいいから発音記号から推測できた方がいいと思う.
- id:blueboy CD を使うのは古い。遅れているね。音声を聞くなら、電子辞書だよ。お勧めは SHARP の PW-M800 と PW-AM700-S だよ。
同意しかねる.
ある分からない一つの単語の発音を調べるだけなら辞書でも可能だが,普通は何千何万という単語を覚えるために使うので電子辞書は不適切.またクイックレスポンスの練習にも使うので,なおさら辞書は使えない.
あと単語単位だけでなく,フレーズ単位での聞き取り練習も必要だよね.
下:灘高はリスニングをこう教えている
速読みは最初のWow.からBring some paper here them.までの全文を、意味を取りながら音読してみてください。「意味を取りながら」が重要なポイントです。つまり、What did you make those for?と読んだら、頭の中で同時通訳的に「おまえ、何のためにそれ作ったんや?」と流れるようにするんです。
音を追って、同時に理解するトレーニングをしないと、全然、意味がない。聞き取れたけど、理解できないでは意味ないですから。
特に英語を使うのは、文系より、理系に行く子たちです。理系では英語で文献をたくさん読まされるし、学会で英語の発表をする場面だってあるかもしれません。それに比べて文系はあまり英語を使わないです。僕は今、高3を受け持っていますが、理系のクラスの担任です。毎年、英語科は理系の担任と決まっているのです。
これは激しく同意.
センター試験のリスニング程度なら9割ぐらい聞き取れるようになったら、多聴に移るべきでしょう。ただし、多く聞くといっても、CNNニュースなど、生徒の能力をはるかに超えるものをひたすら聞いていても、結局はほとんど聞き取れないことになる。
「耳慣らし」でなら,映画やドラマのDVDとか使って早い英語を聞くのも良いんだけど,初級リスニングの練習にはならない.
海外で暮らすつもりなら英語ニュースは聞けた方がいいんだけど,最近はネットがあるから(現地ローカルのニュースを除けば)海外で日本のニュースを読むのも難しくはない.
われわれが学生の頃は「単語をちゃんと調べてきなさい」「訳してきなさい」と、宿題といえば調べものばかりでした。あとは、「ノートに書け」でしたね。でも、いちばん大事なのは覚えることだと思うので、僕は授業中に覚える作業も盛り込んでいます。
知らない単語がなくなったら、もう一度CDを聞いてもらいます。この時点でほぼ聞けるという子はすばらしい。こんな生徒ばかりだったらいいのですが、そううまくはいきません。ですので、スクリプトと一緒に段落の要約や重要な内容について4択で問う問題なんかを用意しておきます。
ある意味でTOEICのスタイルが,実はコレなんだよね.別にTOEIC対策でやってるわけじゃないんだろうけど.
TOEIC教材は初級リスニングの練習用としても悪くはないよ.
リーディング用の教材のちょっとマイナスなところは、CD教材に段落ごとにトラックがついていない。だから、頭出し機能があるのが最高なんですよ。段落が終わったら、今度は300ワード全部通して聞きます。
だからMP3プレーヤーはABリピートのある機種は必需品.
最近だと低価格化の進んだICレコーダーにするのもいいな.
http://b.hatena.ne.jp/entry/toyokeizai.net/articles/-/14598
- id:ricenoodles こんなんある程度実力のある人にしか向いてない方法じゃないの?
- id:temtex このスクリプトは楽勝ですか。確かに中学英語だが、これを即座に翻訳できるレベルは相当なはず。やはり人を選ぶ勉強法だった。こんなの真似しちゃだめだよ。
いくら名門校と言っても,たかだか「高校生」レベルだよね?
英語なんて学習した年数がものをいう学問だから,高校の名門校レベルも大学生ならある意味で普通レベル.この学習法の大半は大学生以上なら十分通用する学習法だと思う.*3中を読んでも,リスニング初心者に教えてるわけだから,学習前はTOEIC500点以下じゃないかな.単語力や文法力はあるので大学受験はこなせるけど,速読速聴,英語で聞きながら英語で考えるのができないので,TOEICのようなテストでは点が伸びない.