救済にならない救済案
派遣切り救済雇用 応募サッパリ
雇用対策として、さいたま市が発表した臨時職員100人の採用計画の応募が8人にとどまったことが明らかになったが、新規雇用を打ち出したほかの企業や自治体でも元派遣社員の応募が少数にすぎない実態が分かってきた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000086-san-soci
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090118/trd0901181547010-n1.htm
以前からこれを見ていて,すごく違和感があったんだけど,これってオーバードクターやフリーターと同じ図式なんだよね.
博士卒で仕事にありつけなかった人がオーバードクターとして年数を重ねれば重ねるほど,(再)就職が遠のいてしまう.その場しのぎの「救済策」が,その人間の人生を台無しにしてしまうという皮肉な現象が起きてしまう.フリーターだって当時は仕事が無く,「多少条件が悪くても,今出来る仕事からとりあず頑張ってみよう」と一時的に適当な職を選んで頑張ったら,気がついた時には手遅れになってしまっていたのだ.*1この辺りは未だ終身雇用が生き残るお役所やマスコミの人には理解しがたい話かも知れない.
派遣切りで斬られた人が一時しのぎにお役所仕事や本業とは無関係な仕事をやったとしてもキャリアにはならず,それはニートやフリーターと同じ扱いとなる.お役所の雑用係として年数を重ねれば重ねるほど再就職が困難になるわけだ.だから明日死んでも構わない人ならともかく,まともに将来を考えている人ならばキャリアにプラスにならない仕事は,迂闊に引き受けるべきではないのだ.
これもある意味で人事部と年功序列賃金の弊害と言えるかも知れない.
高齢者介護施設を全国で展開するさいたま市の介護会社「メデカジャパン」。日産や日本IBMなど派遣社員削減を発表した30社に人員募集の文書を送ったが、「応募は1件しかありません」(担当者)。
薄給な上に朝令暮改で先の見えない介護業界には行けないんじゃないかな.肉体的な負担も大きく,若い人じゃないと務まらないし.*2
タクシー会社「エムケイ」(京都市)は先月、運転手1万人の新規募集を発表。1週間で140人が説明会に訪れたが、「元派遣社員の方はチラホラという程度。もっと応募があると思っていたが…」(担当者)。
いや,MKタクシーは胡散臭いでしょ.タクシー需要が激減するのが予想されるのに増車って,ドライバーが泣きを見るのは目に見えている.*3
- そもそも人手が足りないところは典型的な集約労働な上に待遇が悪いから。
- その募集の待遇についてどうして書かないの?
- 応募サッパリってhttp://www.kourakuen.co.jp/ir/pdf/2008/20081222.pdfこれ見て応募するヤツはいないだろ。勤務時間と休日数と給与額くらい書け。
- 待遇悪い仕事でも我慢して続けてれば、昇給して保険にも入れて終身雇用される、そんな昇り調子の時代とは仕事の捉え方が違うんだよな。
- なんかミスリード臭が。賃金のミスマッチでは。介護(ヘルパー)の平均賃金は175,200円、役所の非正規雇用は年収200万以下も珍しくないそうだ。求人側が提示した月給額と応募しなかった派遣の声はなぜ書かない
- こうやって外堀を埋めていくのか、選り好みをするなと。/あと、自治体の臨時職員とか自分が住んでるところでも募集してるが、数ヶ月と期間が短い上に次の仕事に繋がらないものばかりのような?
- 臨時職員は契約更新するのかな?
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000086-san-soci
- うちみたいな無名な中小でも正社員一人募集でのべ98人応募ありましたよ。すっごい違和感。
- 机上の算数で雇用をどうにかするってのが無茶。
ポスドク問題
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200901180087.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090118-OYT1T00111.htm
ところが、「出口」の就職先が広がらない。博士に人気が高い大学の教員や公的研究機関の研究職の数は、減少傾向だ。さらに期待されていた企業への就職者数も、全就職者数の約6分の1と、米国の約3分の1に遠く及ばず、受け皿自体が狭い。「専門能力は高いものの、他の分野の知識やコミュニケーション能力が不足している場合が多い」というのが企業側の理屈だ。また、待遇の面で博士を優遇しない企業も多い。
専門家というのはそういうもの.器用貧乏なのは専門家とは言わない.
そういう専門知識をビジネスに繋げるのが経営者の仕事だと思うんだが,経営者には技術知識がないので何をどうしていいかが分からず,どれほど優れた技術があっても*4使いこなせない.まさに猫に小判.
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20090111/p1
さらにこういう上司をフォローするための「こみゅにけーしょんのうりょく」なんて非生産的な技術は,誰であろうと磨く気は起きないと思うよ.
文科省の今泉柔剛・大学改革推進室長は「博士の増加は間違いではなかった。責任は彼ら自身や大学院教育、産業界・社会などすべてにある」。ただ「文科省も関係者への働きかけが不十分だったかもしれない」と認めた。
結果論だけど,順番が逆だったことが悲劇を生んだ.
まず最初にニーズが増えて,博士の給与が何倍にも高騰し*5,それから供給を増やすべきだった.ニーズも無いのに供給だけ増やしても,年功序列の元では単なる高年齢新卒としてしか見て貰えなかった.*6
「私を信じて下さい.悪いようにはしないから」
http://mojix.org/2009/01/20/kaikokisei_wrong_justice
http://mojix.org/2009/01/21/donokurai_kaiko
ついでにメモ.
相変わらずやってるけど,こいつはいつまでコレを続ける気なんだろうか.まるで「私を信じて下さい.悪いようにはしないから」と言われてるような気分だけど,それって詐欺師のセリフだよな.
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20080603/p1
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20081220/p1
セーフティーネット構築を後回しにして正社員の解雇規制撤廃を訴えてるけど,順番を逆にするとオーバードクターやニート問題と同様な悲劇を生むと思うよ.