それは普通の転職サイトじゃね

要約すると「俺が思いの丈を綴ったレジュメをちゃんと読んでくれなかったのは,どう考えてもリクナビNEXTが悪い!」という逆ギレ.


転職者個人の無知に基づく逆ギレという点では,この話を思い出す.

ついでなので,「31歳ゲームプログラマーが婚活するとこうなる」第三話も読んでみることを推奨.今ならKindle雑誌「月刊ウィングス」で無料で読める.

http://www.pixiv.net/member.php?id=4391132
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20150729/p1
プログラマなら,こういうメールを送る側の経験の一度や二度あってもおかしくないのだよ.

Q.なぜリクナビNEXTを絶対に利用してはいけないの?

A.自動配信メールと人売り紹介料狙いの転職エージェントからのコピペメールしか来ないから。

そんなの普通じゃん.べつにリクナビNEXTの専売特許というわけじゃないよ.*1

転職者は「自分の思い浮かぶ将来像」を踏まえて、自己PRやキャリアプラン、過去から今までの膨大な案件の概要や開発環境・技術、役割、成果などについて「どう書けば自分の思いが伝わるだろう?」「どうすれば私の良い所や実績が伝わるだろう?」と一生懸命に考えてレジュメを書いている訳だけど、そんな物はリクナビNEXTでは一切読まれていない。

というのも、企業はただキーワードで機械的に引っ掛かった人間に対し大量に同じ文面のコピペメールを送りつけて、それに喰らいついてきた人達と大量に面接し、光る人間だけを拾いたいと考えている。実際、2〜3年リクナビNEXTを利用してきて、レジュメを読んでコピペではないオファーをくれたのは1社しかない。割合にしたら1%にも遠く満たない。

それの何が悪いの?というか人材エージェントや人事部が,ひと山いくらの有象無象の履歴書を,全部じっくり読み込んでくれてるとでも思っていたの?*2

あなたが自分だけを特別扱いしてほしかったら,あなたがズバ抜けて優秀になり,自他共にそれが認められるくらいの有名人にならなければいけない.人材エージェントや転職サイトからすれば,あなたは「ひと山いくら(あるいはそれ以下)の商品」でしかないのだから,そういう扱いになるのはごく自然な流れなのですよ.


そもそも

負け犬プログラマーの歩み

負け組だった人間が今一度PGとして人生の飛躍を模索するも加齢と共に閉ざされる未来に直面しているブログ。

などと書いてるような人が,自分だけは特別扱いしてもらえると,本気で思っているのだろうか?


また

「履歴書でやってはならない10の間違い」

1.重点を置くところが間違っている

 これは、求職者にはもっともわかりにくい概念の1つかもしれないが、履歴書は自分のために作るものではない。履歴書を作り、書式を整え、整理するのは、あなたが募集している仕事に適しているかどうかを、人事担当者が判断しやすくするためだ。応募する仕事に応じて、自分の履歴書を整えることは大切だ。誓ってもいいが、あなたがその仕事に合っているかどうかを確認するために、履歴書を詳しく調べる人事担当者などいない。履歴書を読めば、そのことがはっきり分かるようにしなくてはならない。

4.履歴書が「読みやすさ」に欠けている

 履歴書の書式は、決して軽視すべきではない。採用担当者によっては、採用があるたびに何百もの履歴書に目を通さなくてはならないことを念頭に置くこと。また、それらの担当者は通常、1ページの履歴書を見て、それを取っておくか捨てるかを判断するのに、最大でも35秒しかかけていないということも考慮すべきだ。履歴書をデザインし、採用担当者がその文書を読みやすく、素早く情報を処理できるようにすべきだ。

http://japan.cnet.com/sp/businesslife/35018085/

応募先の企業でさえも,だいたいそんな感じだろう.そりゃ不景気で何百人〜何千人も応募してくれば,杜撰にもなるさ.*3


例えば「PHPの経験はありませんが…」とレジュメに書いたら、「PHP」で検索してきた企業から「特に会員番号 XXXXXXX様のPHPによる経験に興味を持ちました」というメールを貰うことは普通にある(実話)。

まあプログラマーなら当然予想できることだよね.*4予想できることなので,苦笑するだけで腹も立たない.んなもん最初のフィルタリングを手作業でやってたら,無駄に経費がかかって赤字になるわ.

それに普通は履歴書には「○○ができます」を書くものなので,「できませんが」(それもたかがPHP!)というのは,ある意味でイレギュラーな話なのかもしれない.*5

こうして見ると、リクナビNEXTの所業は最早スパムメールに近い。

リクナビNEXTに登録している,そのサービスを利用している時点で,それは「あなたが希望した」んだと思いますよ.イヤなら退会すればいいだけ.*6

転職エージェントは、みな必死に無料であることを強調するが、それは嘘に近い。実際、彼等は無償どころか、エンジニアを1人転職させるだけで数百万の対価を得るのだ。

それは公開情報で,嘘でも何でもない.転職者なら誰でも知ってるレベルの話.

どんなエンジニアでも都会で転職したら年収400万程度にはなるだろうし、その1/4と考えたら100万円の紹介料が転職エージェントには入る。

エージェント経由で転職成功するという時点で,普通は「どんなエンジニアでも」ってことにはならない.紹介料が年収の何割になるかはそれぞれ異なるだろうけど,それにしても100万からの紹介料を払う以上は直接応募の人より優秀でないと採用には至らないから.*7

費用はほぼ人件費しか掛かってないし、その人件費も面談に転職エージェントが同行することは基本的に一切なく、派遣会社の顔合わせ程度の外回りもない。

  1. 人件費は最も高い物の一つ.人力でやるよりIT化した方が安いことが多い.ITエンジニアなら常識.
  2. 信用を作って依頼をもらうための人脈作りは大変なようだよ.求人情報は企業秘密でもあるし.
  3. 面接に同行することもあったりなかったり.

毎日数十人の転職希望者を突撃させてはその結果をメールや電話でやり取りして待っていれば、自分たちに数百万の紹介料をもたらすことになる優れたエンジニアも出てくる。

毎日数十人の希望者に応募してもらうためには,毎日数千件のスカウトメールを送っても足りないのでは?企業側面接官とのスケジュール調整も大変だ.そしてその希望者全員と一度は直に会うことを考えれば,毎日数十人というのはかなり厳しいと思われる.*8 *9

また応募者の質を落として量だけ増やしても,企業側は採用しないだろ.無駄な経費が増える結果になるだけ.下手に質の悪い応募者を大量に応募させたら,エージェントの信用にもかかわるしな.

考えれば考える程ボロい商売のように思える。

本気でそう思うなら,そっちに転職するか起業すれば?*10

つまるところ、リクナビNEXTは、リクルートや転職サイトの名のもとで人様のレジュメをかき集めたあと、転職エージェントから使用料を徴集した上で「狩らせる」のである。

くりかえしになるが,それの何が悪い?


人材エージェントや転職サイトにとっては,あくまで転職希望者は「商品」だ.*11魚屋さんが魚市場にやってきて,サバやイワシを一箱幾らで購入するのと大差ない.*12

http://b.hatena.ne.jp/entry/crapp.hatenablog.com/entry/2014/03/25/194204

  • id:quabbin それでも某Dよりは、だ〜いぶマシなんだよなぁ…。Find Jobは使ってない…。どうなんだろう。

ちなみに多くのサイトで「興味があります」「ありません」ボタンがあって,最初の返信はほとんど自動.紹介会社側へは「ID XXXXXXの山田太郎さんより『興味あります』という返事が来ています」みたいなコピペメールでも送られてるんだと思う.どうせ自分で文面を考えたところで,書く内容は毎回ほとんど同じなんだから,これで十分なのだ.

  • id:atsuizo 全くダメだとは思わないけど、実名出されている転職エージェント2社は書かれている通り。転職サイトと転職エージェントは複数社使うべし。あと、マイナビは転職エージェントからのコンタクトないよな。
  • id:masatomo-m もし行きたい企業があるなら、大企業でもなければエージェント通さずまずは直接アプローチした方がいいよ。企業側はエージェント通さないだけで100?200万くらいコスト違うので、それだけで採用率上がる

せやな.

  • 「1日300通届く男性からのメールをどう捌く?」

ちなみに旦那の方は,

  • 名前だけ置き換えたコピペE-mailを大量送信.
  • 返事が来るのは20件につき1件くらい.*13 *14
  • 新規登録者の自動チェック&自動E-mail送信スクリプトを作って対応しようとしたが失敗.
  • 経費(デート代)が,毎月十万近くかかってヒィヒィ.
  • 相手のOKするオレオレルールが理解不能:初対面の相手に自宅まで車で迎えに来させるって危なすぎでしょ.
  • デートに着ていく服がない(マジで)

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*1:この段階ではリクナビNEXTを特に批判もしないけど推奨もしない.だが少なくともここで出ている批判は,ごく普通の転職サイトの特徴で,特にリクナビNEXT固有の問題でもない.合理的に考えれば,転職支援サイトを構築すると,概ねこういうふうにならざるを得ないわけだし,なんら問題とは思えない.
仮にリクナビNEXTに問題があるとしても,そこじゃない.「え?気にするのそこの所?」って気分.

*2:ほとんどのサイトではスキルのチェックリストがあって,Java経験3年以下,COBOL経験1年以下,Sybase経験,スマホアプリ,VisualStudio, Eclipse, 日本語:ネイティヴレベル英語:日常会話レベル,中国語:.....というのを延々ラジオボタンでポチポチ入力させられたりするもんだが.だから人材紹介会社の側は,そのチェックリストを元に絞り込みかけてるもんだと思ってた.リクナビNEXTはそういうのがなかったのかな.

*3:たとえば不況下では短期アルバイトに毛が生えた程度のポジションに100件近くの応募があることも珍しくないが,それの書類審査にかけられる時間はせいぜい1時間弱が良いところだろう.とすると一人平均30秒前後という試算結果が出てくる.おそらく実測しても大差ないのでは.もちろん重要なポジションを選ぶ場合はこの限りではない.

*4:特に婚活している31歳ゲームプログラマーなら.

*5:レジュメでは長所は大きく書いても,短所は書かないかぼやかす.「○○ができない」は明らかな短所なので,書く必要がない部分だろう.

*6:個々のメールサービス単位でサービスの利用する/しないを選択出来るサイトも多い.リクナビNEXTはどうだっけかな.

*7:或いはよほど急を要するからとか.「今すぐ転職して,即戦力で活躍できる」というのも,ある意味で「誰でも良い」というわけではないな.

*8:これを一人でやるとしたら,仮に毎日メールを送るだけの仕事だとしても,決して「ボロい商売」ではないだろう.

*9:担当者一人当たりではなく,リクナビNEXT全体でという意味かな?とすると,そのくらいの人数でもボロい商売とは限らないのでは.

*10:たぶん新規に紹介会社を起業しても,人脈がないと仕事にならないと思う.リクナビといういみでは,リクナビというブランド構築にどんだけ金と時間がかかったと思ってるんだ.

*11:それもひと山いくらの.

*12:サバ缶のダジャレじゃないぞ.

*13:返事を受け取った後も色々あるし,初デートの初っぱなでフラれたりもしてるので,最低でも300〜500件くらいは送ってると思われる.下手したら千件を超えるメールを送るのに,細かい所なんてチェックしてられないでしょ.

*14: http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20151108